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潔癖症とトイレ事情

昼食も食べ終わり皆が談笑をしたり、携帯を触ったり、好きなことをしている昼休み、目の前で眉根を寄せながら自分の携帯の画面を拭いている海にふと気になったことを聞いてみる。


「なあ、海」

「何だ」

「お前って、トイレとかって平気なの?」

「トイレか……」


画面を拭いている手を止めて海は答える。


「自分の家以外のトイレは極力行かないようにしているが……我慢すれば便座のところ以外なら大丈夫だな」

「なるほど」

「話は変わるが樹、トイレットペーパーの三角折ってどう思う?」

「うーん……何か几帳面な人なんだなって思うな、使いやすいし、結構ありがたいよな」

「僕はそうは思わない」


真剣な顔で海は語る。こういう時の海は驚くほど饒舌になるのだった。


「お前几帳面だから嬉しいんじゃねぇの?」

「嬉しいことなんて一つもないだろう。考えてみろ、手を洗っていない手だぞ?そんな手でベタベタと触っていると考えたらどうだ?嫌だろ?」

「……まあ、確かに。けどさ、見えないから俺は大丈夫だな」

「樹がいいならそれでいいさ」


海は再び携帯の画面を拭き始めた。海の言ってることも一理あるかもしれない、でも三角折も次の人の為を思ってやっていることだと思っている、それはありがたいことだ。

しかし、時にはその行動がありがた迷惑となることもあるのだ。

例えば目の前にいる潔癖症が良い例である。


「そういえばお前の家のトイレってすごく綺麗そうだよな」

「当たり前だ、毎日掃除しているからな」

「毎日?お前が?」

「うむ」

「うちの家なんて週に一回したらいいほうだぞ」

「……掃除、しに行こうか」


海が少しわくわくしたように言うので丁重に遠慮しておく。


「そうか、きっと便器に顔が映るほど綺麗になるのにな……」

「そんな便器嫌だ」


そう、俺は多少汚れている方がいい。

そう思う人間もいるのだ。



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