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日常小話① 映画の感想を言い合う

潔癖症があまり関係ないので小話として投稿しました。

よろしくお願いします。

昨日借りてきたDVDを今日海に渡した。レンタルショップの黒い袋に入れてそのまま渡すと物凄く不快な顔された。


「汚い……」

「あ、ごめんごめん」


黒い袋からDVDを取り出して差し出すと海は受け取りはせずに自分のロッカーへと歩いていく、何をやっているんだあいつは。

海は自分のロッカーからビニールの手袋のウエットティッシュを持ってきた。手を差し出すので渡すとキュッキュッと音を鳴らしながらDVDの透明のプラスチックの入れ物を拭いている、もうこれくらいでは俺は動じない。

一通り拭き終わるのを待ってから話しかける。


「お前、この前新品だから大丈夫とか言ってたじゃないか」

「うむ、言ったが」


それがどうしたと目が物語っている。


いつきが見たから新品じゃない」

「俺も含まれてんの!?」

「当たり前だ」

「あっ……そうですか」


もう笑うしかない。



翌日、海がDVDを返してきた。


「どうだった?面白かっただろ?」

「いや……そんなには」

「え?」


俺的には百点満点中九十点くらいの満足のいく出来の映画だったのだが、海はそうではないらしい。顔を見てみれば眉間に僅かな皺ができている。

顎に手を添えながら海は言う。


「そもそもあんなストーリは世の中の映画に溢れるほど量産されている。王道ストーリなのは悪くはないが、その王道の中にオリジナルを混ぜなければいけないと僕は思うんだよ。役者はいいとは思ったけどストーリがあれではな、宝の持ち腐れだな、それに……」

「もうわかった!俺の話も聞いてくれよ!」


本当に海は自分の好きなことに関してはよく話す、海は映画も小説も漫画も好きだ、俺も何だが正直ここまで俺の愛は深くはない。

それでも話したいものは話したいのだ。


「別に面白かったんだからいいんじゃない?」

「だから面白くないってさっきから言ってるだろう?」

「嘘だろ?」

「嘘をついてどうするんだ。あの映画は僕的には二十点だ」

「五十点満点?」

「百点満点だ」

「はぁ?ふざけんなよ!面白いじゃないか!あそこだよ、ヒロインを悪党から助けたところ!」

「まあ、悪くはなかった。でもやっぱりその後が悪かったな。あそこだ、悪党が改心するところ」

「俺はそこが一番感動した、主人公たちを庇って死ぬなんてさ……」


思い出して暗い気持ちになった俺に海は容赦なく言い放つ。


「いや、そのまま悪党のままで死んでほしかったな」

「鬼か!」


その後も延々と話続けていたが近くにいた女子に「あんたたちうるさい!」と怒られたので自然と会話は変わっていった。


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