潔癖症と歯磨き
今回は少し短いです。すいません……
昼食をとった後大概の生徒は歯磨きをする。当然ながら海もするし、俺もする。小学校からの習慣なのでやらないと何か嫌だった。
ただ、普通の人の歯磨きの時間は五分程度だと思う、多くても十分かくらいだ。それなのに海は俺の隣で永遠と歯を磨き続けている。
「おい、もうそろそろいいだろ」
「ふぁだ(まだ)」
「あまり磨きすぎても良くないらしいぞ」
そう言ってみたが頑なに海は歯ブラシから手を離さない。
やっと歯磨きが終わったかと思ったら今度は口をゆすぐのに必死になっていた。
「三回くらいで十分だろ!」
「いや……これくらいしなければ汚れは落ちないんだ」
「いやいや、落ちてるって。磨きすぎても良くないって言ってるだろ!」
「それでも僕はやる」
「あっそう……」
そんな海の歯は真っ白である。綺麗だ。
「どんな歯磨き粉使ったらそんなに真っ白になるんだよ」
「む、これは歯磨き粉のせいではない。毎週歯医者で歯石を取ってもらっているし、磨き方指導をしてもらっている」
「磨き方指導って……お前、小学生かよ」
「バカにするな」
「別にしてねぇけどよ」
「樹も今度一緒に行くか?」
「いや、遠慮しとく」
「そうか、残念だな……」
本当に残念そうに海は言った。