友達からの電話
『はぁ、ぷう太郎も今日で1ヶ月かぁ。短いやすみだよなぁ』。
そう考えているのは前の仕事を辞め、丸々1ヶ月を‘’自分探し‘’と銘をうってただ遊び呆けていた僕だ。
そろそろ新しい職場を探しだそうと職安に通う決意をしたのもこの時期だ。
実際に職安に行くと迅速な対応で会社見学の日取りもあっという間に決まった。
見学先の社長さんもとても感じの良さそうな人だった。
『今日は急な見学に対応していただきありがとうございました。』
僕は感謝の言葉を述べ、会社からもらった資料を手に家に帰った。今日の見学のことを家族に話そう。もしかしたらこの会社にお世話になるかもしれないと。
いったい、タイミングというものはどれだけ絶妙なのかと思った。
本当にこのタイミングで1本の電話が入った。それは、高校は違ったけど幼稚園から中学校まで共に過ごした友達の正敏くんだった。
『もしもし、まだ無職?』
たしかに無職の僕は無職と答えるしかなかった。
『今日、職安で紹介された会社に見学行ってきたよ。なかなか良さそうな会社だった。』
この会社を受けようと言ったところだった。
『実はうちも募集しててさ、どうよ?』
本当に急だった。急すぎると答えるしかなかったので、何日か考えさせてくれと返答を待ってもらい電話を切った。
早速、家に帰り考えた。その会社は知っている。厨房機器専門の大手だ。誘われたのは製造工場。NC、溶接、電気何でもこなす会社だ。
正直、運が良かった。
運に身を任せるのも良いかもしれないと。そう思った。
9月28日、晴れて僕は第2の人生を歩み始めた。