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白銀の聖騎士  作者: 夜風リンドウ
二章 牢獄都市アルギナス
53/162

ep21 死神



 地下牢獄内に潜入すると、ゼノス達を迎えるのはやはり悪魔の大群だった。



 妙な奇声と殺気を放ちながら襲い掛かってくる彼等だが……六大将軍の前では赤子に等しい存在である。



 ゼノスは先陣を切り、襲い掛かる悪魔を一薙ぎしただけで打ち滅ぼし、その余波は後方の悪魔にまで影響を及ぼす。今は力の温存の為に、白銀の鎧は装着していないが、その力は修羅をも凌駕する程である。



 ユスティアラだって負けてはいない。彼女の剣舞はゼノスの殺し損ねた悪魔をひっ捕らえ、容赦なく斬り裂いていく。もはや飽きたという表情を見せながら、作業じみた調子で悪魔を亡き者にしていく。




「あはは、さっすがはゼノス!敵がバタバタと死んで行くね!」



「ア、アスフィさん不謹慎ですよ!今は笑っている場合じゃ……きゃっ!」



「よそ見をするな、ゲルマニアよ。……こいつ等は間違いなく神話の怪物達。生半可な気持ちだと――命を落とすぞ」



「す、すみません」




 悪魔を斬り殺しながら注意を投げかけるユスティアラ。確かに敵の猛攻は凄まじく、ゲルマニアは一瞬の油断によって掠り傷を負ってしまった。一歩間違えれば、取り返しの付かない致命傷となっていただろう。



 ロザリーも必死の形相で剣を振るい、尋常で無い六大将軍のスピードに何とか付いて行く。アスフィはまた余裕の表情で敵の攻撃を躱しているが……ゲルマニアとロザリーにとって、ここは余りにも危険な場所だ。




 ――もしゼノスとユスティアラがいなかったら……とうに二人は死んでいるだろう。




「ユスティアラ!さっきから螺旋階段をずっと下りているんだが、その地下処刑場とやらはもうすぐなのか!?」



「ああ、すぐそこだ!このまま押し切るぞ!」



 現在いる場所は地下牢獄への入り口を抜け、そこからずっと続く螺旋階段。地下牢獄の中心は大きな円形の空洞となっていて、螺旋階段は壁側に沿って作られている。その途中には勿論牢屋があるのだが、そこに収容された囚人達の姿は見えない。




 ……恐らく、悪魔共の餌食となったのだろう。




 ユスティアラの話によると、螺旋階段を下った先には地下処刑場という、言わば死刑を宣告された囚人達がその場で狩られ、死んで行く為の場所があるらしい。



 そこはとても広く、ゼノス達が存分に戦うのに相応しいと聞いた。ここで迂闊に技を展開させれば――この脆い階段はすぐに崩れ落ちてしまう。こいつ等を全滅させるには、そこに行くしかなかった。



 ――悪魔との激しい戦闘を繰り広げてから約数分、一同はようやく地下処刑場らしき階層が視界に入る。拷問器具が並べられた不気味な階層だったが、何とかまともに戦う事は出来そうだ。



 ゼノス達はお互いの背を守り合い、四方八方からジワジワと迫り来る悪魔共に武器を向ける。……緊張と不安が彼等を襲い、壮絶な死闘の始まりを告げる――




 ――はずだった。




『……久しぶりですな、姫様』





「……え?」



 その歪な声は、悪魔達の中から聞こえてきた。



 それは人の声では無い。禍々しく、邪気を孕んだ低い声音。人間でいうと初老の男性が放つ音色に似ている。



 ――急に立ち止まる悪魔達。荒々しい唸り声を上げる奴等の中から、声の正体は姿を見せる。



 ボロ絹のマントを羽織り、その身には錆びれた鎧を着こんでいる。素肌などもはや存在しない……顔も体も骸骨で出来た戦士がその身を晒してきた。さしずめ、骸骨騎士という所か。



「……貴方、誰?」



 胸中に渦巻く不穏な感情を抑え、ロザリーは静かに尋ねる。



『おや、分かりませんかな?……まあ無理も無いですな。このような姿では、当時の面影は一切存在しない』



「はぐらかさないでっ!貴方は一体――――」




 と、ロザリーが問い詰めようとした時だった。



 途端に空気の流れが変わり、嫌な気配が漂ってくる。




「――ロザリーさん、危ないッ!」




 ゲルマニアが咄嗟に何かを察知したのか、ロザリーへと近寄り、その体を抱き寄せる。




 ――次の瞬間、ロザリーとゲルマニアは何かの衝撃波をくらい、その全身は遥か後方へと飛ばされ…………突如背後に出現した黒い渦によって、二人はその渦に呑まれた。……あっという間の出来事であった。




「なっ……。ゲルマニア、ロザリーッッ!」



 ゼノスは焦り、一瞬にして消え失せてしまった二人の名を叫ぶ。



 ――情けない。恐らく今の現象は、シールカードによる力か何かだろう。同じシールカードであるゲルマニアは即座に反応し、何とかロザリーを単独にさせずに済んだが……どちらにせよ、最悪な状況だ。



 ゼノスは鋭い眼光で骸骨騎士を射抜き、怒りを露わにする。



 ――それは、神々をも震え上がらせた怒声である。



「――貴様、覚悟は出来ているんだろうなっ!」



 ゼノスは咆哮する。――すると、余りにも強い覇気に当てられてしまい、骸骨騎士以外の悪魔共は軽い悲鳴を上げながら後退する。




 ……その時、彼等は悟った。




 白銀の聖騎士には絶対に勝てない。この身が神話上の怪物であっても、幾千人もの英傑を滅ぼしたとしても――彼の前では意味を成さない。それは静かに闘志を増大させるユスティアラも同様だし、彼等の母、アスフィにも言える事である。



 ――だが、それでも骸骨騎士だけは憶さなかった。



 彼は不気味な笑いを放ち、静かに答える。



『これはこれは、誠に申し訳ない事をしましたな。……しかしこれは魔王様の意向故に、姫様は早急に対面せねばなりませぬ。――最も、余計な娘も飛ばされてしまいましたが』



「ッ。魔王の……所に」



 ……嗚呼。最悪の予想が、ついに現実のものとなってしまった。



 こうなっては駄目なのに……自分の不甲斐なさが、楽観的な考えがこの事態を呼び寄せたのだ。



「――そこを退いて貰おうか、邪悪なる悪魔よッ!さもなくば、このリベルタスで」



「待ってゼノス。……ちょっと、この人達に聞きたい事があるから」




 突如、アスフィがいきり立つゼノスを抑え、ゼノスとユスティアラの前に出る。その姿は堂々としていて、ふざけた様子は一切見られなかった。



「アスフィ、正気か!?このままだと二人の命が危ないんだぞ?悠長に会話なんて出来るか!」



「安心して。今はまだ戦闘の気配は無いし、場所もここからそう遠くないみたい。……それに、少しは相棒の強さを認識したらどうかな?一応はシールカードなんだよ、あの子も」



「ぐっ……く」



 言葉に詰まるゼノス。だがアスフィはそれを意にも介さず、全神経は骸骨騎士へと注がれていた。



「ねえ、そこの骸骨さん。……いえ。『ギルガント王国宰相』さん、の方がいいのかな?」



「……く。やはりか」

 ゼノスは一旦心を静め、アスフィが言い放った衝撃の事実に対し、妙に納得した表情を浮かべる。



 ……奴が姫様と言った時点で勘付いてはいたが、どうやら本当だったようだ。彼――宰相は醜い悪魔の姿となり、ゼノス達の前に立ちはだかっているというわけだ。



『ほほ、そう呼ばれるのも懐かしいですな』



 宰相は郷愁に浸る様に言葉を紡ぎ、静かに微笑む。



『……で、何を聞きたいのですかな?魔王様の一部となり、シールカードとなったこの私に』



 ……そう、やはりそうなるか。



 彼が悪魔となった理由、それはシールカードと化す事によって、悪魔のカードによって具現化に成功したのだろう。



 かの騎士マルスが盗賊王になった様に、ミスティカが占い師となった様に、そしてゲルマニアが騎士となったと同じく――奴は悪魔となった。




 そして……恐らくこの場にいる悪魔達も。




 ゼノスは悪魔共が呟く微かな声に気付き、そっと耳を傾ける。




『……コロ、サナケレバ……ヒメ、モ……カイリツ、二、ハンスル、モノモ』



『コロス。アノアワレナ、ヒメヲ……ナニモカモヲ』




 と、何度も呪詛めいた言葉を口にし続けていた。



 察するに――この悪魔共はギルガントの民、又は騎士だった者達だろう。宰相と同じく、彼等もまた二年前にシールカードとして取り込まれ、カードの一部と化したに違いない。



 ……だがそうなると、一つ疑問が残るわけだが。



 二年前、ロザリーが入団試験を受ける前の話だ。シルヴェリア騎士団長であるニルヴァーナは確かにこう言った。





『――あの昨夜の事件以降、ギルガント王家はアルギナス連行部隊に捕えられ、生死は不明。及びギルガント市民も捕まり、信仰に深く染まった民間人はその場で斬殺されたそうだ……』





 と、言っていた筈だ。



 なのに、奴等はこうして悪魔となり果てている。シールカードという存在は二年前にて一斉に出現されたのにも関わらず――何故ニルヴァーナの報告では拘束、又は斬殺となっていたのだろうか?



「――聖騎士よ、何を思っているかは察しがつく」



 宰相もアスフィも口を開かない中、ユスティアラがそっと語り掛けてくる。



「……ギルガント王国の関連者、だったか?私が閲覧した囚人登録表には、ギルガント関係者は国王ライガン、及び第一王女ノルアしか記載されていなかった」



「……大体予想は出来るがな」



 ユスティアラが人の心を読んだ事はさておき……一つ蛇足がある。



 ……二年前のアルギナス牢獄を統括していたのは、実はユスティアラでは無い。彼女はゼノスが国を去った後に引き継いただらしく、ゼノスがその事実を知ったのもつい最近の事である。



 当時アルギナス牢獄を統括していたのは――『ランドリオ貴族』である。



 勿論の事だが、ランドリオ帝国にも貴族や諸侯は存在する。一時は貴族が政治主権を握っていた事もあったらしいが、様々な横暴を繰り返した末に、市民革命まで起こされてしまい、彼等の主導権は永遠に失った。



 その後、ランドリオ帝国は騎士国家へと戻ったわけだが、貴族は今現在でも国家の命令によって重要機関の管理、又は地方政治にも少々関わっている。



 理由は簡単だ。貴族はとても横暴で、そしてプライドが高い。何かしらの名誉を与えないと、彼等は国に多大な被害を及ぼすだろうと判断したのだ。



 アルギナス牢獄の統括がその典型的な例であるが……先も言った通り、貴族はとても横暴で、尚且つプライドが高い。



「――これは前任者の補佐を務めていた現場監督兵長の話だが……その貴族は自らの貢献を披露する為に、公共には嘘の報告を行ったらしい。――愚かな話よ」



 そう、結局はそう行き着くわけだ。これは昔から発生している問題であり、騎士であるゼノス達でも、力でどうこう出来る話では無い。



 ……さて、ゼノス達が様々な疑問を思案する中、沈黙を貫き続けてきた両者に動きがあった。



『――どうしたのですかな。一応言っておきますが、貴方様が我等の始祖でなければ……もうとうに襲い掛かってますぞ?』



「ああ、ごめんね。ちょっと、言葉に悩んでいたものだから」



 宰相の冷静な言葉に、アスフィは悲しそうな笑みを浮かべる。どうやら、向こうはアスフィが始祖だと気付いているようだ。



「――ねえ。今からでも遅くないよ……もうこんな酷い事は止めようよ。こんな事は何の意味も成さないし、誰も喜ばない」



『それはとんだ偏見ですな。戒律は全てを正当化させ、統率を極めた世界を誕生させる。――言わば、人類の希望』



 宰相は両手を高く伸ばす。自分の言葉に酔いしれながら、その饒舌は尚も言葉を紡ぐ。



『――我々は正しい行いをしている。無価値な人間は殺され、正しい人間は生き永らえる。……それの何がおかしい?神の定めた法律こそが至上、それに違反せし者は……万死に値する。我々はその意義を示す為に、革命を起こしているのだよ?』



「……狂ってるね、その思想」



 その考えに、アスフィは唖然とする。



 彼等の理想は、ゼノスから見れば何もかもが的外れである。生きるべき者が死に、苦しんでいく。――絶望という闇の中で。



『……だから、この行軍は貴方様でも阻止出来ませぬ。――いや、させぬ』



 宰相は指を鳴らす。それと同時に、周囲の悪魔達が一斉に攻撃態勢へと移る。




『残念ですが、例え生みの親であっても容赦はしませんぞ。ここで六大将軍と共に散り――栄光の礎と化せ』




「――ッ。本当に……戦わなければいけないの?」



 アスフィの苦言にも、宰相は一向に耳を貸そうとはしなかった。



 もはや貪欲な亡者、もはや狂いに狂った人間の成れの果て。



 言葉など通じないとならば……。



 アスフィが戸惑う中、ゼノスとユスティアラが無言のまま彼女の前へと出る。



「だから言ったろ。――悠長に話をしても、奴等の信念を曲げる事は出来ないんだよ」



「……」



 優しいアスフィ、お前は争いをしたくなくて、話し合いで解決をしようと試みたのだろう。



 ……けれど、それは叶わぬ願い。時には戦い、時には傷つく。それがゼノスの歩んできた修羅の道であり……この世の道理である。



 ゼノスはリベルタスを、ユスティアラは刀の柄に手を添え、互いは同時に武器を抜く。



 そして――騎士道精神に則った、最上の礼儀を尽くす。




「――六大将軍である俺達は、今を以て、ギルガント国宰相に決闘を挑む。……というわけで」




 両者は刃を構え、その場から二人の姿が消失する。






 「「邪魔者は――滅べ」」






 激しい斬撃の音色、響き渡る絶叫のコーラス。宰相率いる上級悪魔達はことごとく絶命していき、抗う余地すらない。



 ゼノスとユスティアラは元の位置に戻り、攻撃のモーションを終える。



『……っ!?……な、何と……こ、これは』



 気付いた時には、宰相以外の悪魔は全員死んでいた。



 凄惨に殺され、宰相の説く希望を掴めなかった弱者。ただ悪道を貫き、正義の使徒たる六大将軍によって、その命を絶たれた。



 多くの神を、多くの悪魔を殺してきた六大将軍にとって――これしきの行いは造作無い。その事実を知らない宰相は、見事不意を突かれた。




「残念なのはこっちだよ、悪魔のシールカード。……貴方は『絶対の死』と敵対してしまった。――平和の為にも、始祖と六大将軍は貴方を殺さなければならなくなった」




 アスフィは光り輝く。どこまでも荘厳に、闇夜を照らす太陽の様に。



 彼女の不思議な力によって純白のローブ姿となり、その左手には黄金色の剣を携え、生と死を模る片翼が肩に生えている。



 ――その姿は、ゼノスの知る最恐の真の形態。『始祖』の戦闘衣である。




「さあ来なさい、愚かな息子。力に溺れた可哀想な子よ」




『ぐっ……くう』



 宰相も流石に劣勢と感じたのか、焦燥に満ちた声音を発する。



 相手は世界最強の六大将軍二人に、始祖アスフィ。誰もが戦慄する存在が三人もいる……この事実は、宰相の心に恐怖を植え付ける。



『……分が悪いのは、確かなようですな。――だが、ここで退くわけにはいかんのですよ…………例え、この身が滅びようともっ!』



 ぴしっ、と何かが軋む音がした。



 それは空間に僅かな亀裂が生じた音。宰相の苦し紛れの一言と共に、威圧めいたオーラが周囲を漂う。



 ――宰相の身体全体を、異様な程の粒子が覆っていく。



 間違いない……この現象は何度か見てきた光景だ。『光の源』と呼ばれるシールカードの力の根源が、彼に多大なる力を与えようとしている。



「――ほお、やれば出来るじゃないか」



 ユスティアラはシールカードの真価を初めて拝見し、静かに称賛の意を述べる。




 ――ゼノス達の目前には、既に骸骨騎士は存在しなかった。




 図体は先程の数倍以上に膨れ上がり、その身には漆黒のボロ布を羽織る。闇色の長い鎌を両手に携え、宙を浮遊する禍々しき者。



 生と死を刈り取る神――『死神』がその場に君臨していた。




『……魔王様。この力、対峙する輩共を葬る為に使いましょうぞ』




 歪な光の籠った瞳をゼノス達に向け、鎌を構える。



 ……どうやら見た目もそうだが、秘められた力も尋常無く増大しているようだ。恐らくは盗賊王と同等……いや、それ以上の強さを誇っているかもしれない。



 ゼノスとアスフィが臨戦態勢に入ろう……としたのだが、




「待て、聖騎士と始祖。――お前達は早急に最下層を目指せ」




「……一人でやる気か?」



 ゼノスの問いに、ユスティアラは即答する。



「……無論。このような者に、わざわざ六大将軍が二人掛かりで挑む必要は無い。……それに、ロザリーとゲルマニアを助けたいのだろう?」



 ……確かに、今は一刻を争う事態だ。



 六大将軍は単独での戦いでこそ、その本領を発揮させる。共闘は彼等にとって邪魔なものでしか無く、思う存分に戦えない。



 ここは、彼女の意見を汲んだ方が適切だろう。



「――分かった。だが気を付けろよ、奴等の力は底知れない」



「……ふっ、珍しいな聖騎士、お前が臆するとは」




 ゼノスの助言をしっかりと理解し、ユスティアラは刀を片手に持ち、羽織っていたマントを脱ぎ捨てる。――本気の姿だ。





「安心しろ、死にはせん。――またあの頃の様に、好敵手である聖騎士と戦いたいからな」





 彼女は不敵に微笑み、刃を片手に死神である宰相へと特攻する。



 ユスティアラの何倍もの大きさを鎌を振るう宰相だが、彼女はその刃を刀で受け止める。




「――くっ、早く行け!私が注意を引いている隙に!!」




 余程の力だったのか、余裕の無い叫びを上げる。



「……恩に着る、我が同志よ。――アスフィ、行くぞ!」



「う、うん!」



 ゼノスはアスフィと共に宰相の不意を突き、その脇を一瞬の速さで通り過ぎていく。……だが、




『逃がすかっ!』




 何と宰相は鎌を持たない左手をゼノスへと差し出し、その手から暗黒のブレスが吐き出される。



 執念深き死神の一撃。――だが、それに戸惑うゼノスとアスフィでは無い。



 ゼノスは後ろを振り向き、暗黒のブレスと対決する形を取る。




「聖騎士流法技――『ホーリー・ベール』!」




 ゼノスは光を放つ剣先で円を描く。



 すると――ゼノス達の眼前に光の壁が出現し、聖なる守護が闇の一撃を大らかに包み込んでいく。……だが流石はシールカード、ゲルマニアの加護が無いと、容易に打ち消す事も出来ない。




 しかし上手く死神の魔の手から逃れ、二人は最下層へと続く階段へと辿り着いた。





 ユスティアラと宰相が死闘を繰り広げる中――ゼノスとアスフィは魔王の間へと走って行く。






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