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白銀の聖騎士  作者: 夜風リンドウ
六章 帝国の眠り
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 それは一体どこで、一体いつなのだろうか。




 茜色に染まった大海原。暖かい潮風が黄昏の向こうから吹き込み、丘に茂る草木を優しく撫でる。



 波打つ音、草木が嬉しそうに揺れる音。カモメが鳴く音。



 ――この世界を支配する音は、それだけ。




 世界を彩るのは、海と、白い砂浜と、草原と、丘と――




 ――そして丘の上に立つ、小さな木の家だけである。




 家は崖の頂上に佇み、まるで遥か海の彼方に旅立った恋人を待つように、ひっそりと存在感を露わにしている。老朽化は進み、今にも崩壊しそうなほどボロい様相だ。



 まるで廃墟のようで、人の気配を感じられる場所ではない。丘の近くを通りかかる者は、誰もがそう思っていた。



 ……しかし、ここには一人の女性が住んでいる。



 いや正確に言うのならば――魔女だろうか?



 近隣の村に住む人々によると、ここに住む魔女は数百年以上も生き、魔術の実験台になりそうな者を見つけては捕え、魔術の実験台として殺しているという噂が広がっているらしい。



 朝や昼、または夜はその姿を見せないが……唯一、黄昏時になると崖の端によく佇んでいるという話も聞く。




 こうして彼女は――『黄昏の魔女』と呼ばれるようになった。




 あらゆる侮蔑を込めて付けられたその異名は、今では村の伝説と化している。彼女の真実を探ろうとする者は誰もおらず、そんな噂の独り歩きは数百年以上も続いている。



 黄昏の魔女、悲しき表情で海を見つめる純美なる乙女。





 彼女は今日も、不気味な魔女で在り続ける。








 ――夢にまで見たその日が、訪れるまで。









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