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相沢さんの場合 その1

 私は第18代勇者の相沢優子です。西暦2011年の12月、アデン歴627年風の月第1週赤の日に召還されました。先代の近藤さんが魔王退治に召還され、その2年後旅の途中で音信不通が1ヶ月続いたため急遽予備人員としての派遣です。しかしながら出発準備の1週間の間に近藤さんが見つかり、予備人員として王宮で待機するか、向こうに合流して対の勇者にしてしまうのかで1ヶ月議会は踊りました。

 記録を見るに11代目の召還時に対の勇者は不吉であると神殿に記録されてしまったため、「召還したのに軟禁して公表しないのは恨みを買うぞ」という貴族側派閥と「記録上次は災厄を送りこむと残されている」とする神殿側派閥で1ヶ月間血生臭い攻防があったようです。率直な感想で言いますと「しらんがな」です。

 さて、この長い議会の間私は何をしていたかといいますと、呼び出しウィンドウインターフェイスにある受話器のマークを使い、渦中の近藤さんに勘弁してくださいよーという電話といいますか念話といいますか個人連絡を行っていました。近藤さんの言い訳として「1ヶ月雲隠れしていたのは欝期だったから」「米か醤油に出会えるまで引きこもろうという郷愁の念にかられていた」らしいです。それでいて「こんなパーティもう嫌だ」「相沢さん今から交代してくれよ」なんて事まで言い出し、マニュアルから不老不死の勇者さんの名前をみつけて同じ機能を使って報告し、急遽5代目高橋様から「根性叩き直して来るしそっちもなんとかするから安心してね」という大変温かい言葉をいただきました。

 アデン帝国側の結論がでないままの水の月になったとき、高橋様が王宮にいらっしゃいました。高橋様と一緒にアデン帝国の皇帝陛下も現れました。実のところこの1ヶ月勇者と認める認めないの政治的理由でお会いできなかったようでして、泣いて土下座されました。そして18代目の正式な勇者認定と共に近藤さんの監視が私の職務内容となりようやっと私は王宮を出る運びとなったわけです。


 高橋様は魔法をものすごく研究されているようでして、アデン帝国にはない転移魔法「テンファイソーシ」を用い近藤さんの目の前まで一緒に移動してくれました。独特な呪文「ピーピューヒョロヒョーロー」は私には発音できなさそうで落ち込んでいましたがいつでも連絡すれば連れて行ってくださるとのことでした。目の前で土下座体制の近藤さんに気づいたとき「それって魔王城にもいけますか?」と何気なく聞いてしまったとき高橋様と近藤さんは声を揃えて「それだ!」とおっしゃり、任務開始して2時間、私の任務は早期終了の予定になったのでした。

 

転移魔法添付ファイル送信の呪文はFAXの音です。

高橋には使えます。

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