新人勇者の夜
勇者待機室とかいう部屋に通された俺はダブルサイズのベットに横たわる。ひとまずの説明が書いてあるマニュアルを開くと本当にあほみたいな内容だった。適当に思い浮かんだ魔法を使って現状把握しろとあるので騙されたと思ってやってみるか。
「メテ…いや、いいや火の玉召還」
最初に浮かんだ魔法は有名ゲームの広域魔法だった。幾らなんでも室内でするにはあれなので意味がわかればよさげであると判断し普通に呼んでみた。うん…魔法信じます。俺の手のひらには爺さんが出したような火の玉が揺らめいていた。観察するがいつまでたっても消えそうもないので「消火」と消えるイメージをして唱えると消え失せた。
「How to 勇者だけ読んでおこう…」
不貞寝でもしたい気分だったが事の深刻さに気づき最初のほうにある「How to 勇者」の章だけ目を通すことにする。
「1ページしかねぇじゃねぇか!」
やる気を出したところでコレである。曰く、魔法はイメージ。慣れたら無詠唱であらかた可能。人の魔法見せてもらうまではゲームやら映画やらとにかくエフェクトまで詳しいイメージが出せるものでやっていけ。その場のノリで何とかなるなるみたいな。勇者って剣じゃないの?って思っていたら剣技の加護がないなら魔法改造で行けと…曰く剣をもったまま行う昇竜剣(拳じゃないからか)とか超簡単な剣パンチ(原型がないからわからなかったがあんこ奥義!とか書きたしてある。おそらく愛と勇気の拳技に尖った物もたせただけ)と、とにかく斜め上方向に力技を使うごまかしできているようだ。
「すげーな…気合だけで生きている…」
寧ろコレだけでいいじゃんという箇所として呼び出しウィンドウという機能があるらしい。人によって様々らしいが意識して呼び出してみる。
「ウィンドウ」
どうみてもウィ○ドウズです、ありがとうございました。凄くげんなりしたが使い方がわからない。5分くらい四苦八苦してコレも魔法なんだからイメージでポインターが動くことに気づく。簡単だった…。しかし持ち物だとかスキルとか見えないぞ。今あるものを確認してみる。メモ帳、ワード、エクセル、スカイプ、IEとか動くのか?あとネトゲ。試しに動かすとIEは動いた。ただし読み込み専用のようである。ネトゲも立ち上げてみる。立ち上がるのかよ!しかしそこはゲームのCGには変わらなかった。その代わりメニューは使えるようである。持ち物にマニュアルが入っている…。これでみれるのかなとステータスを立ち上げる。
第297代勇者 飯島誠
Lv.1 剣技 探知 探索 経済学 不老不死
どうやら昇竜剣はかまさなくとも良い様である。安心した。あとなんだこの経済学って、出身学部か?
自分の加護がわかったのでDefだとかMenだとかは無視してマニュアル索引から同じ加護の人が何をしてきたかを見てみる。不老不死はよくあるっぽいので無視することにした。
剣技は一番古い人で第17代目近藤さん、最近の人だと214代目の間宮さんだな。えー…近藤さんは隣国の侵略戦争にて活躍、間宮さんは隣国の…剣技はどうやら戦争要員らしい。
探知探索は遠出が必須な職になってしまった場合もれなくついていて、経済学は予想通り学部のようだ。全く使わないけど出身大学や専門学校の情報みたいなのがついてまわるようだ。不老不死は荒事とセット、つまり剣技がついてる人は漏れなくついていた。剣技がなくとも学者系の人だとかにもあったりもする。場合によっては色々みたいだな。大魔法使いなんてものになった人は精霊の祝福として後天的におしつけられたと愚痴愚痴記録してある。
わかったことは異世界で剣と魔法が使えて遠出を余儀なくされる戦闘要員で不老不死である。たよりになるのはこのマニュアルと呼び出しウィンドウこの二つ。俺、死なないけど生きていけるのかなコレ。