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第十七話 謎 ニット帽

体育館裏。

一週間前に昇一郎と我有先輩達が喧嘩をした場所。

僕達はそこに、転校生を探しに赴くことになった。

だから、


バキィッ


“こんな光景”を見る事になるとは、思っていなかった。

「先輩ッ!」

僕は思わず叫んでいた。

昇一郎は気付くと駆け出していた。

駆けて、“血まみれで倒れている我有先輩達”を抱き起こす。

「大丈夫か!?」

昇一郎が我有先輩を引き起こして、肩を揺する。が、

「・・・・・・」

我有先輩から返答は無い。

別に死んでいるわけではなさそうだが、やられた傷が深いのか、動かないまま気を失っている。


事は、数分前に遡る。



僕と昇一郎は、1-Hの坊主頭君に言われた通りに、転校生が向かったと言う体育館裏に向かっていた。

校舎を出て、そこから体育館を回りこんで裏に行くのだが、

「ん?」

と、昇一郎が一瞬怪訝そうな顔をした。

「どうしたの?」

僕は振り返って、昇一郎を見上げる。

「今、何か変な音しなかったか?」

「変な音?」

言われて僕を耳を傾けてみる。が、特に何も聞こえない。

「気のせいじゃない?」

「いや、確かに聞こえた。何かを殴るような・・・」

殴る、って・・・、と笑おうと思ったら、昇一郎が突然駆け出した。

「え、ちょ、ちょっと待ってよ!」

僕は昇一郎の後ろを走って追いかける。が、昇一郎の足は速く、どんどん離されて行く。

何なんだ・・・。何にもなかったらどうしてくれよう・・・。

そんな事を考えながら足を動かして、

「!」

昇一郎が立ち止まっているのが見えた。

「っと、と・・・」

ぶつからないように止まって、

「どうし――――」

どうしたの?という言葉の全部を言い切ることなく僕は目を奪われた。


我有先輩。それに、漸樹、鋼器先輩が居た。

それから、誰だろう。ニット帽を目深に被り、顔がよく見えない“誰か”が居た。


何をやっているのだろう。とは“思わなかった”。

それはスグに解った。


「戦ってる・・・・?」


喧嘩だ。

我有先輩達と、ニット帽が戦っていた。

「ハァ・・・、ハァ・・・、ハァ・・・」

ここから見ても、我有先輩達の疲労は明らかに見て取れる。肩を荒く動かして、何とか呼吸を整えようとしている。

その一方ので、ニット帽の方は涼しい顔をして立っている。

しかし、それは仕方の無い事だった。

我有先輩達は一週間前に昇一郎と喧嘩をして、その傷がまだ癒えていないはずだから、それは当然だ。

現に昇一郎も、隠そうとしているものの我有先輩たちとの戦闘でついた傷は癒えきっていない。

つまりこの喧嘩は不平の元での喧嘩に違いなかった。

が、

「けど・・・」と、僕は呟いてしまう。

彼等は“生徒会”の会員だ。それを、如何に傷が癒えてなかろうともああまで叩き熨してしまうというのは、ニット帽の実力を物語っている気がする。

「!」

ふと、ニット帽がこちらを見た。

その瞬間、


「?」


気のせいだろうか。ニット帽が“ニヤリ”と笑ったように見えた。

そして、


瞬動―――


ニット帽が消え、次々に我有先輩、漸樹先輩、鋼器先輩が地面に突っ伏していく。

そして、


ニット帽が姿を消し、今に至る。

我有がやられ役になってます。

なんかツクヅク女キャラが少ない作品です。

ともあれ、楽しんで頂ければ幸いです。

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