第四話~告白~
それは、突然の事だった。
いつも通り、由紀と私で昼食を取っていると、由紀が、いきなり私の手を握ってきた。
「里香!!!!お願い!!!」
由紀は、私の目を真剣に見て、話し始めた。
私は、いきなりの事に動揺しながらも、頷いた。
由紀が、こんな風に、私を真剣な眼差しで見るのは、初めてだから。
私は、蓮の教室に行った。
「蓮!」
私は、蓮を手招きする。
「どうした?」
「あの…ちょっと話したい事がある…」
「え?」
蓮は、呆然としていた。
私は蓮の手を引いて、校舎裏に向かった。
草が荒れた中、一本の道があった。
ここだと、見つからないだろう。
「あのね。由紀が…」
あ、まただ。
蓮をデートに誘おうとした時と同じ。
なぜか胸が苦しくて辛い。
「あの…」
「何となく、分かるよ」
「え?」
「由紀さん、俺に好意を持ってるんだろ」
蓮にはすべてがお見通しだったらしい。
すると、蓮は私の頬を大きな手で撫でた。
「れ…ん…?」
蓮は優しい目で私を見つめる。
吸い込まれそう…。
漆黒の黒色の髪が際立てる綺麗な透き通った茶色の目。
私は、これ以上、蓮を見ると、自分がおかしくなりそうで、蓮から目を逸らした。
「お前は…。何で悠樹なんだよ」
蓮は、私の肩に頭を埋めた。
「え…何…」
「俺は、由紀さんと付き合うつもりなんて無い。俺は好きな子がいるっていっただろ。なのに、何で応援する?」
そう。私は分かっていた。由紀が振られる事。
だって…蓮の好きな子は、由紀じゃない事ぐらい、蓮の由紀への目を見て分かった。
蓮は、どんな女の子だって夢中になる綺麗な目を持っているけど、蓮の心冷めた目で見られると、
怖くなる。
蓮はモテるけど、今まで、その突き刺す様な目で女の子たちを遠ざけてきた。
その遠ざけられた女の子たちの中に、由紀がいたのを分かっていた。
きっと、蓮が心を許した目で見るのは、私と悠樹ぐらいだろう。
蓮の親も、仕事ばっかりでほとんど家にいないし、最初会った時は、すごく冷酷な目だった。
だけど、私は、諦めなかった。すごく冷たい目をしているから、私が温めたいと思った。
私が、幼かった頃の純粋な気持ちだった。
恋愛感情では無いと思うけど、友達になりたいと思った。
いつの間にか、蓮は、私と悠樹に心を許すようになった。
私たちだけに心を許してくれるのも、嬉しいけど、複雑。
このままで良い訳がない。
何で応援する?。そんなの決まってるじゃん。
一人ひとりに、愛を求める権利があるから。
私が、どーやこーやで、決める事じゃない。
「由紀は、純粋に、蓮が好きなんだよ?ちょっとは分かってあげて。純粋で、綺麗で、温かい気持ちを
」
蓮は、私を抱き締めた。
まるで、私の愛を求めるかのように。
「蓮…やめて」
すると、蓮は、サッと体を私から離した。
「ごめん。忘れて。いつどこに行けば良いの?」
「今日の放課後、ココで待ってるって」
私は、蓮の背中に向かって呟いた。
「分かった」
そういって、蓮は、校舎へ戻っていった。
私は、その場にペタンとひざを着いた。
すると、カサッと、奥の方で聞こえた。
もしかして聞かれた!?
「だ、誰!?」
すると、ある人が歩み寄ってきた。
「悠樹…」
悠樹は、サッと手を私に差し伸べた。
「大丈夫か?」
「大丈夫だけど…見てたの?」
「だって、気になるじゃん。里香が蓮を呼び出してさ」
「あ、あれは!!」
「分かってる。由紀ちゃんの頼みだろ」
「うん…」
しばらく沈黙が続いた。
全部見られたってことは、抱き合ってるとこも…
「お前、蓮が好きなの?」
私は”蓮が好き”という言葉にビクンッと反応した。
「ちっちがう!!!!」
私は全否定した。
「ならいーけど。アイツ、好きな人いたんだな」
「らしい…ね」
すると、悠樹は、ハハッと笑い、私に背中を向けた。
「実はさー俺もいるんだよな!好きな人」
「え?」
「本当に、大好きで大好きでたまらなくて、見てたらキスしたくなるし、他の男と喋ってたら、いらつくほどにね」
そう言って、私の方に振り返り、私のあごに手を付けた。
「な…」
私の手に汗が出てくる。だんだんと悠樹の顔が近づいてくる。
すると、悠樹は、ガンッと私のおでこに悠樹のおでこをぶつけて、
「冗談。好きな人がいるのは本当だけど」
そういって、歩き出した。
な、な、何アイツーーーー!?
ついに頭イカれた!?
私にまで、あんな言葉を発すなんて!!
私は、水面所に行き、顔を洗った。
まだ、顔が熱い。
キスされるかと思った…。
「里香♪言ってくれた?」
「あ、うん!」
由紀が、私に喋りかけた。
「顔真っ赤だよ?どうしたの?」
「え、あ。いやああ!アハハハ!今日暑いよねー!」
「そう?」
「う、うん!」
私は、笑ってごまかした。
由紀。ごめん。
「まあ、ありがとう!」
「ううん」
「頑張るね!!!ほんと、あの遊園地の時から、蓮君を見る度、心が跳ね上がってさぁ…」
由紀、可愛いな。
恋する乙女は可愛いってこの事か。
でも、こんな複雑な感情、始めてかも。
「里香、良いのか?」
帰り道、今日は、悠樹と帰った。
「良いの。今頃、由紀を止めたって、意味無いよ」
そう、由紀の告白の結果は決まっている。
由紀には悪いけど、私の心の奥底で、由紀が振られることを嬉しく思う自分がいる。
蓮が、誰かに夢中になって、私の傍から離れていくのが怖い。
「そんな思いつめた顔になるなよ!」
「うん…」
由紀の事だから、すぐに立ち直るよね。
次の朝、蓮はいつも通りだった。
蓮にとっては、日常茶飯事だもんね。
「ふったの?」
私は、恐る恐る聞いた。
蓮は、静かに頷いた。
「そっか…」
そのまま、気まずいまま、登校した。