第三話~イベントクリア~
「何でこんな事に…」
私と悠樹は、案内人の人たちに、勝手にコスプレさせられた。
いつの間にか、着替えさせられ、いつの間にか迷路に迷い込んでいた。
「いーじゃん。かわいいよ♪里香」
「…そう?けど…」
森のような場所。なかなか凝ってあった。
しかし。前は暗くてよく見えない。真夜中の森?みたいな。
本当…こーゆーの苦手。
「悠樹…」
「…怖い?大丈夫だっつの。さっさとゴールしようぜ!」
「うん…」
私は、メイド。悠樹は執事に着替えさせられた。
いつもと、服が違うせいか、不思議な気分。
悠樹がかっこよく見える。
それは良いとして。怖い…。私は、おびえながらも、悠樹と手錠ごしにガッシリ手を繋いでる。
私と悠樹はトボトボと歩き続けた。
「お、なんか光が見えてきた」
「ゴール!?」
私と悠樹は駆け足でその光へと向かった。
すると、そこには”迷路中間地点”と書いてあった。
綺麗な公園みたいな場所だ。どんだけ広いの…。
すると、ベンチで、カップルが見えた。
「あ、あれ?蓮と由紀?」
そこには見覚えのある2人が、座っていた。
「お、里香じゃん!お疲れ~」
「そこに、有難い事に冷水機があるよ。」
蓮と由紀は、お姫様と王子様の格好をしていた。
「由紀、かわいい……」
由紀は、そんな事ないよー。なんて言いながら笑っていた。
だけど、その横で気に食わないような顔をしている蓮がいた。
「蓮…?あ、れ、蓮もかっこいいよ!」
私は、蓮の気分を悪くさせないように励ました。
「里香、かわいいな」
蓮は、ニコッと笑った。
ホッ…。良かった。蓮、機嫌直った?
「おいっ俺はー!?」
悠樹は、蓮の肩に手を回した。
「ははっ。お前もかっけーよ。ホストみてー」
「ばっうるせーこんにゃろ」
フフッ。こういうのって良いな。
由紀と顔を合わせて、ニコッと笑った。
「よしっ、悠樹!いこっ!」
「あれ?さっきまで、あんなに震えてたのに」
悠樹がイタズラっぽく微笑んだ。
「そ、そんなことないよ!」
すると、また蓮が機嫌悪そうな顔になった。
え?なんで?
私は、何も分からずに、迷路にまた入った。
「悠樹。なんか蓮、怒ってなかった?」
私が、歩いてる途中に聞くと、今度は悠樹が私から目を逸らした。
「ゆう…き?」
すると、悠樹は、私の体を自分の体に寄せた。
「俺も、少し機嫌悪いんだけど」
「え…?」
私は、悠樹の顔を覗くと、不機嫌そうな顔をしていた。
「俺、里香にカッコイイって言われてない」
「え、そうだっけ?」
「おう。」
なんか、悠樹が可愛く思えた。
私は、フッと悠樹の胸の中で微笑んで、少し背伸びして、悠樹の耳元で言った。
”かっこいいよ”
すると、悠樹は、また私から目を逸らした。
「可愛すぎ。里香」
「な、何言ってるの」
「けどさ、蓮が怒ってるのって、あれだよ。焼きもち。俺が里香と仲良くしてたのもあるし。
多分。。。これも」
そういって、悠樹は、私と手錠で繋がれている方の手を上に出した。
「恋人つなぎしてるから」
「え、え、いつのまにいいいいい!?」
「お前が、震えてる間にな!」
「は、は、は、はずっっ」
私は、あわてて、恋人繋ぎを止めようとすると、悠樹が力強く、私の手を握った。
「離さない」
そう言って、悠樹は、歩き出した。
嘘。なんか、悠樹じゃないみたい。
鼓動が速くなっていく。胸が苦しい…。
「悠樹…」
私が、つぶやいても、悠樹は、何も言わなかった。
いつの間にかゴールに着いて、私は、ネックレスをもらった。
「かわいい!」
「なかなか良いじゃん。俺は、鍵のネックレスだ。お前のネックレスのハートの穴に入るんだな」
「あーなるほどねえ」
私は、ネックレスを着けた。
「どう、似合う?」
「うん、似合ってる」
悠樹が素直だ。
いつもなら、お前みたな奴にそんなシャレたのは似合わねーとか。言うのに。
こっちが調子狂うよ。
すると、後から、由紀と蓮の出てきた。
「お疲れ~」
私が、ニコッて蓮に笑いかけた。
だけど、蓮は、無視して、由紀と、ネックレスをもらいにいった。
やっぱり、怒ってるのかな。
焼きもちなのかな。
「じゃ、かえるか。もう7時だ。」
蓮が話を切り出した。
「うん、そうだね」
私たちは、電車に乗り、自分の最寄駅で降りた。
「今日は楽しかった!ありがと!」
私と蓮と悠樹は一緒に降りて、由紀に手を振った。
「じゃあね。一日ありがとう」
蓮が、笑顔で言った。
「うん!ありがと!また明日学校で!」
電車のドアがガタンと閉まった。
「蓮も、由紀ちゃんと仲良くなったな」
悠樹が、蓮に言った。
「そんなことないよ」
そういって、蓮は、一人でに歩き出した。
なぜか気まずい空気で、家まで帰った。