第二話~恋愛ってこういう事?~
「くふふ…蓮くんの私服最高なんだヶどっっ」
隣で由紀がにやけながら私に囁いた。
「ん…だね」
なんか、私は気が乗らない。
はぁ…。少し、ため息をつく。
モヤモヤする…。
「おっっ!定番のお化け屋敷!」
悠樹が笑顔でこっちを見る。
「へ…?」
私は、呆気にとられる。
由紀は、前に踏み出て、
「わぁ!私、蓮くんと入りたい…な?」
うわ!由紀大胆!
「じゃあ、由紀ちゃんは蓮とね!里香は俺とだな!」
悠樹は、なぜかルンルンで私の手を掴む。
「ちょっ待って!悠樹!」
悠樹は、私の言葉など無視して、入ろうとする。
蓮は、何か言いたげにしていた。
ハァ。困ったなぁ
あたし…怖いの無理なのに。
いつの間にか、暗い部屋に迷い込んだ。
「うおー、真っ暗だな」
「…」
「懐中電灯も明かり小さいしな…」
「…」
私は、声も出ないまま、悠樹の手を握り締めた。
すると、いきなり、緑色の幽霊が目の前に現れた。
「え…ぃ、ぃ、ぃ、ぃやああああああああああああああああああああ」
私は、悠樹にガッシリと抱き着いた。
「ぷっ、里香…本物じゃないって」
悠樹は、優しく私の頭を撫でた。
「む、無理だょぉぉ…悠樹、戻ろうよ…」
私は、悠樹の胸の中で泣きながら言った。
「ばーか。戻ったら、ラブラブな由紀ちゃんと蓮と会うだろ。」
「…」
「里香、大丈夫だから。俺がいるし」
悠樹はいつもより低い声で呟いた。
「うん…」
「さ、行こ!まだ入ったばっかりだぜ?」
「手…ちゃんと握っててね?」
私は、下を向きながら言った。
何回も幽霊が出てきた。
私は、その度に絶叫しながらも、悠樹の手を握り締めた。
「里香!終わったよ」
「明るい…」
「ハハッ。里香、可愛かったぜ?叫び声」
「な、何言って…悠樹、もしかして、私が怖いの無理だって知っててお化け屋敷に誘った?」
すると悠樹は、顔を赤く染めた。
「え。え。え?ちょっと待って!冗談だよね?あたし冗談で言ったんだけど」
「当然だろ。俺、お前が怖がる顔好きだし」
な、何言ってるの!?私は、みるみる顔が熱くなるのが分かった。
すると、蓮たちも出てきた。
私は話をそらすかのように、蓮と由紀のところへ向かった。
「怖かったね!アハハ」
「里香、怖いの無理だったろ?大丈夫?」
蓮は、私の顔を覗き込む。
「だ、大丈夫だよ…」
私は、自分の顔を隠すかのように、下にうつむいた。
「えぇ~?そうだったの!?里香、言ってくれれば良かったのに」
「大丈夫大丈夫!俺と一緒だったしな!」
悠樹は、偉そうに、私の肩を掴んだ。
私は、苦笑した。
「じゃあ、次はどこ行く?」
由紀が、蓮の手を掴み、歩き出した。
え、手…
「お!蓮と由紀ちゃんラブラブだな~!じゃあ、俺たちも手つなご♪」
悠樹が私の手を掴んだ。そして、また繋ぎ直し、恋人繋ぎにした。
「え…ちょ、悠樹!?」
蓮もこっちを見ていた。
勘違いされるよ…
「いいじゃん♪今日だけは恋人っぽくさ」
悠樹は、優しい目でこっちを見る。
まあ…良いか。
本当に付き合ってるわけじゃないし。
「あ、なんかイベントやってるよ!」
由紀は、お城みたいなところを指差した。
そこには”カップルラブラブイベント”と書いてあった。
うわ…。なんか、すごい派手。
「やるの…?由紀」
「せっかくだしやろうよ!ね!蓮くん」
「まあ…」
蓮は、めんどくさそうに、答える。
「悠樹。私たちはやらなくても…」
「とーぜん。やるに決まってるじゃん!」
「ですよねー…」
悠樹だから言うと思った。
「さ、はいろおー!」
お城の中には、大勢のカップルがいた。
「いらっしゃいませー!ようこそ!まずは、これを付けて下さいね♪」
私たちは、1組に1つ、鎖みたいなものが渡された。
「手錠…?」
「なるほどねー…こってるなあ」
悠樹は、なぜか感心していた。
「ハイ。里香。」
私は、右手に、ピンクのふわふわが付いた、手錠をつけられた。
蓮と由紀も手錠を付けていた。
最後のゴールまで言ったら景品もらえるんだ。景品は…ペアネックレスか…。可愛いな。ハートだ。
「ほしいだろ?」
悠樹が私を見て、微笑む。
私は少しうなずいた。
そして、何分か、待つと、案内する人が、こちらです。と、私と悠樹を一つの部屋へ誘導した。
その部屋には、オムライスが並べられていた。
「では、最初は、オムライスを食べてもらいます!しかし、自分の手を使ったら反則です♪彼女、または彼氏の手で食べてくださいね」
うわ…。最初っからラブラブな奴だな…。
「じゃ、俺が食べるから、里香が俺の口の中に入れて」
「え?あ、うん…」
私は、照れながらも、しょうがないと思い、スプーンでオムライスをすくった。
「あーん」
悠樹は、大きな口をあけて、待っている。
私は、そっと、悠樹の口の中へ入れた。
「うまーい」
悠樹はおいしそうに頬張って、また、大きく口を開けた。
私はまた悠樹の口の中にオムライスを注ぐ。
「ほらほら早くたべなよー」
私は、何か楽しくなってきて、悠樹を急かした。
「はいはい」
そしてまた、悠樹の口の中に入れる。
いつの間にか、食べ終わっていた。
「ごちそーさま」
悠樹は、舌で唇を舐めて、おいしかったと微笑んだ。
なんか、こういうのもたまには良いかも。
「では、次の部屋へどうぞー」
次の部屋のドアを開けると、ドレスやら、メイド服やら、コスプレ物がいっぱい並べられていた。
「この部屋では、まずコスプレに着替えて、そのコスプレ服で迷路のゴールを目指してもらいます」
えぇっぇっぇぇ!?
私と悠樹は呆気に取られて、その場に立ち尽くした。