第十一話~平穏~
次の朝。
私は、悠樹と蓮を家の前でしゃがみ、待っていた。
いつもより、早く起きて。
あまりにも早く起きすぎて、1時間も早く家を出てしまった。
居ても立っても居られなかったから、さっさと家を出てしまった。
吹き抜ける風は冷たくて、冬の匂いが微かに匂う。
息を吐くと冷たくて。
昨日とは全然違う寒さだった。
「まだ…かなぁ…」
息をフッと吐くと白く上に舞い上がっていって。
両手を擦りながら目を瞑る。
もしかしたら――悠斗も私に幻滅したかもしれない。
蓮も一緒に登校するまでは許してくれないかもしれない。
悠樹も、私を嫌がるかもしれない―
いやな事しか、頭には思いつかなかった。
すると、悠樹の家のドアがバッと開いた。
私はスッと立ち上がる。
「いってきます」
少し元気の無い声で、悠樹は親に向かって呟いた。
「悠…樹…」
手を震わせながら呟く。
すると、悠樹はこっちを見て目を見開く。
「おま、何で!?」
私はすぐに、ごめんっと頭を下げる。
「私。蓮とも悠樹とも仲良くしたいのっ!!お願い…私を許してください」
悠樹は、照れたような素振りを見せて、微笑んだ。
「俺が…悪かった」
そっと、私の頭に手を乗せる。
頭を上げると、そこには、いつもの悠樹がいて。
一週間もの無視された期間は一日一日が長くて。
辛くて仕方なかった。
「悠樹っっ。私と一緒に学校に行ってくれる…?」
ぎゅっと悠樹に抱きついて呟いた。
「また、前みたいに皆で一緒に行こうか」
「うんっ」
悠樹はぎゅっと冷え切った私の手を握った。
「こんなに冷たくなるまで…ごめんな」
「良いの。今こうして悠樹が傍にいてくれて嬉しいから」
「あーもう。里香がいないと寂しくてさ~」
子供のように私の額に悠樹の額が当てる。
すると、後ろから、人の気配がして振り向く。
「人んちの前でイチャつくなよ…」
悠斗が気重そうに呟いた。
「まったくよー!!一度は俺のものだったのに~悔しいぜ」
悠斗は私を悠樹から奪い取って私の頬をつまむ。
「イダイ…っっ」
「俺を振った罰だよ。昨日は、あれから教室戻ってこないし。早退するなら言えよな」
「ごめん…昨日は、ちょっと調子悪かったから」
まぢでっ!?と悠樹は私の額に手を当てた。
「大丈夫?熱ない?」
悠樹が心配そうに私の顔を覗く。
「もうっ心配性。大丈夫だよ」
私は微笑んでみせる。
「里香が、いつも通り元気になってくれて、嬉しい」
悠斗は、照れながら呟いた。
「お、何か皆集まってる」
慌てて蓮が家から出てくる。
何故か、こんな4人で集まるのが懐かしく思えて、
誇らしかった。
こんな時間が大切だって事。今回でよく思い知らされた。
これから、私の運命がどうなるかは、分からないけれど、
今は精一杯皆と楽しんで生きたい。
私は悠樹と蓮の腕を掴み、
「嬉しいなっ」
と微笑んだ。
悠斗も優しく私に微笑みかけてくれた。
そして、この朝。
皆で他愛もない話をしながら登校するのであった。




