主語のおおきな物語
みんなが言った。
「主語のおおきな話をするやつらは信用ならない。やつらの言う『我々』の中に我々は入らないぞ! 我々が言ってもいないことを言ったように話すな!」
ぼくは首を傾げた。
その意見はもっともだ。でも、それはSNSサイトなんかでよく言われている意見だった。それはほんとうに、みんなの意見なのか?
もしかして、みんながそう言ってるから、みんなも同じことを言うんじゃないんだろうか?
ぼくは早速反論した。
「確かにそうかもしれないけど、でも、少なくともぼくらはいつもそう言ってるよ」
すると、べつのぼくらが怒りだした。
「ぼくらをおまえと一緒にするな! おまえ、本当に日本人か?」
「日本人ならおまえみたいにバカじゃないはずだぞ!」
すると座禅をしていた日本人がにっこりと立ち上がり、反論した。
「我々日本人は古来より『和』を重んじて生きてきたはずですよ? なごみましょう」
そこへ中国人がやって来て、上から目線で言う。
「漢字をはじめ、日本文化には我が国がもたらしたものが多いアル! ひれ伏せブー!」
アメリカ人が飛んできた。
「日本は我が国の占領物だぞ! ブル・シット!」
世界が震撼した。
「日本なんて島国に何を固執しているんだキミたち! もっと広い世界に目を向けてみよ! ほら! この俺を見るんだ! 見て見て〜」
地球が世界を叱りつけた。
「世界なんてどこにあると思ってんの? この子は! あたしがマザー・アース! あたしがあんたらの母ちゃんなんザマァースからね!」
宇宙が高笑った。
「星空を見つめていると何もかもどうでもいい気持ちにならないかい?」
ぼくはどうでもよくなった。




