すげえもん書く!
すげえもんを書きたい。
けど、全く思い浮かばない。
「うーん」
うなり、こめかみを鉛筆でツンツン、と突っついてみる。
「うーん」
また、うなる。
ただの格好つけ。
「全く書けない」
ボソリ、と呟く。
冬休み前日の午後。
静かな図書館に、少女はいる。
椅子に座り、テーブルに原稿用紙を置き。
―昨日。
「冬休みがはじまるのに~」
「まあ、よかったじゃん。入院できて」
「いや、田舎だから入院くらいできるけどさ。
冬休みの間、本を読みまくりたかったのに」
「肺炎みたいなもの、だっけ」
「そう。1週間入院」
「毎日見舞い来るよ。スイカ持って」
「時期がちげえよ。スイカは夏だよ。いや、あるかもしれないけどさ。
1週間、長い。作家への道が…!」
「じゃあさ、ワタシが書いてあげるよ」
「なんで?」
「ひ、暇潰し?」
「文章わかる?」
「わかる!」
「会話でよくずれるのに?」
「できる!」
「本当に?」
「まかせて!」
「まあ、いいや。頑張ってね」
「わかった!」
―今に戻る。
「全く書けん…!」
1文字すら書いていない。
人生初の創作。
彼女は高1だが、創作を1回もしたことがなかった。詩も、小説も、何もかも。
「何を書けばいいのやら…!
見栄張ったし、書かないと。
1文字目。あ」
『あ』と原稿用紙に書く。
が、進むはずもなく。
「小説を書きたい。
すげえもんを書きたい」
が、いくら頭をひねっても、アイディアは出てこない。人物も、世界も、オチも、何も出てこない。
もしかしたら、無から作るのではなく、作り方というものがあるのかもしれない。
まあ、彼女にはわからないのだが。
「きゅ、休憩」
そして、自販機の前に立つ。
迷うことなく、カフェオレを選ぶ。
ゴクゴクゴク。
「ふう。
一仕事した後のご褒美は最高だぜ」
まだ『あ』しか書いてないのだが?
飲み終わり、缶をゴミ箱に捨てる。
「さて、と。
何書こう」
後日。
「どう?」
「発想が凄い」
「やった!」
「(何て書いてるのかサッパリわからん…!)」
「すごい?」
「すごいよ、本当に」
「やった!」
ありがとうございました!




