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すげえもん書く!

作者: 鍋の地
掲載日:2025/12/23

すげえもんを書きたい。

けど、全く思い浮かばない。

「うーん」

うなり、こめかみを鉛筆でツンツン、と突っついてみる。

「うーん」

また、うなる。

ただの格好つけ。

「全く書けない」

ボソリ、と呟く。


冬休み前日の午後。

静かな図書館に、少女はいる。

椅子に座り、テーブルに原稿用紙を置き。


―昨日。


「冬休みがはじまるのに~」

「まあ、よかったじゃん。入院できて」

「いや、田舎だから入院くらいできるけどさ。

冬休みの間、本を読みまくりたかったのに」

「肺炎みたいなもの、だっけ」

「そう。1週間入院」

「毎日見舞い来るよ。スイカ持って」

「時期がちげえよ。スイカは夏だよ。いや、あるかもしれないけどさ。

1週間、長い。作家への道が…!」


「じゃあさ、ワタシが書いてあげるよ」

「なんで?」

「ひ、暇潰し?」


「文章わかる?」

「わかる!」

「会話でよくずれるのに?」

「できる!」

「本当に?」

「まかせて!」

「まあ、いいや。頑張ってね」

「わかった!」




―今に戻る。


「全く書けん…!」

1文字すら書いていない。

人生初の創作。

彼女は高1だが、創作を1回もしたことがなかった。詩も、小説も、何もかも。


「何を書けばいいのやら…!

見栄張ったし、書かないと。

1文字目。あ」

『あ』と原稿用紙に書く。


が、進むはずもなく。


「小説を書きたい。

すげえもんを書きたい」

が、いくら頭をひねっても、アイディアは出てこない。人物も、世界も、オチも、何も出てこない。


もしかしたら、無から作るのではなく、作り方というものがあるのかもしれない。

まあ、彼女にはわからないのだが。


「きゅ、休憩」




そして、自販機の前に立つ。


迷うことなく、カフェオレを選ぶ。


ゴクゴクゴク。

「ふう。

一仕事した後のご褒美は最高だぜ」

まだ『あ』しか書いてないのだが?


飲み終わり、缶をゴミ箱に捨てる。


「さて、と。

何書こう」


後日。

「どう?」

「発想が凄い」

「やった!」

「(何て書いてるのかサッパリわからん…!)」

「すごい?」

「すごいよ、本当に」

「やった!」

ありがとうございました!

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