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第五話 それも摂理

 三休狂雲の朱色の木刀で、

 打ち据えられた3匹の豚魔とんまは、


「い、痛ててぇ」

「なんて坊主だ」

「つ、強すぎる」


 と、その場にひっくり返って、悶絶した。

 その3匹に、三休は問う。


「なぜ悪鬼に身を落としたのだ?」

「俺たちは元々は人間の農民でしたが」

「百年前の飢饉で飢え死にして」

「苦しさと無念で悪鬼になってしまったのです」


 3匹は口々に語り、そして三休に、ひれ伏して、


「お坊様、どうか我々を救ってください」


 そう懇願したのだが、


「拙僧に、お前たちを救う力はない」


 三休はキッパリと言った。


「こうなってしまえば、仕方がないのだ」


 さらに三休は言葉を続ける。


「魔物の寿命は長い。数百年だ。その長い月日を」

「その長い月日を、俺たちは、どうすれば?」

「お前たちは、苦しみながら生きるしかない」


 この三休の言葉に、

 3匹の豚魔は絶望したように打ちひしがれた。


「お坊様、それでは、あまりにも残酷です」


 だが三休は、こう断言する。


「残酷であろうと、それが現実だ」


 そして三休は、3匹の豚魔に背を向けた。

 その後、助けた鈴花が、


「あたしも旅の、お供に加えてください」


 と、頼み込んできたのだが、三休は、


「楽しい旅ではないのだ。女性は連れていけない」


 そう言って断った。それでも鈴花は、


「あたしの一家は代々、村八分にされていて」


 そう悲しげな表情で語り、


「この村で、あたしは暮らしたくはないのです」


 この話を聞いて、結局は三休も同行を承諾し、

 鈴花は旅に加わった。だが道中、鈴花は、


「そのダンダラ模様、なんかセンスがないわね」


 などと、僕の羽織る新選組の陣羽織を見て、

 からかうのだ。その旅路で僕は、

 三休に疑問に思っていたことを質問する。


「3匹の豚魔は、この後も悪さをするのでは?」


 この問いに対して三休は、こう答えた。


「村は、今後も豚魔の被害をうけるだろう」

「それで良いのですか」

「出来事には良い悪いはない。ただ起こるだけだ」

「それでは村人が、あまりにも気の毒です」

「村人が不幸になるなら、それも摂理だろう」

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