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第三話 月下の戦い

 久遠の騎士の槍の矛先は、

 僕の胸部を狙っているようだ。


「次の一撃だ。楽に殺してやる」


 冷酷な声で宣告する久遠の騎士。だが、僕は、


「あまり見くびるなよ」


 そう言いながら、刀を構え直した。

 その僕の構えを見た久遠の騎士は、


「刺突の構えか、だが槍のほうが間合いが長いぞ」


 と、勝利を確信したような口調で言う。


「その槍で僕を殺せるかな?」


 挑発するように言葉を発した僕を、

 咎めるように、


「たいした自信だな」


 久遠の騎士は言葉を吐き捨てて、


 ガシャァーン。


 金属音と共に、一気に踏み込んできた。

 と、同時に、


「ウラーッ」


 閃光のような速さで走る、矛先。しかし、


 サッ、


 僕は紙一重で交わして、刀の間合いに入った。


「イヤアーッ」


 刺突。刀の切っ先は、

 久遠の騎士の首を狙ったが、


 スゥッ、


 奴は、わずかに体をかわして、

 切っ先から逃れる。それでも、


 グォン、グォン。


 僕の刺突は三段突きだ。そして三発目の突きが、


 ガシャアァーン!


 奴の首をとらえ、鎧を貫いた。


 バヂィン。


 刀の切っ先から火花が散り、

 一瞬、周囲が明るくなる。


「ぐ、ぐはッ」


 鎧を破壊され、首を突かれた久遠の騎士は、


 ヨロ、ヨロヨロ、


 と、後に下がり、片膝を付いた。


「あが、あがぁ」


 喉を貫かれ、声が出せないようだ。

 さらには首元から、


 ブシャアァーッ、


 と、鮮血が噴き出す。

 その様子を見た三休狂雲は、


「な、なんと、その刀は魔物の鎧を貫くのか」


 驚愕の声を漏らした。そして、

 首筋から大量の血を流した久遠の騎士は、


 ガシャン。


 力尽きて地面に倒れ、


「あがっ、あが、あがぁ」


 苦しみながら、やがて息絶える。

 だが、その屍は年老いたタヌキの姿に変化した。


「どうやら古狸こりのイタズラだったようだ」


 三休は、そう言いながらも、


「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」


 タヌキの亡骸に経を唱え、

 寺の裏山に運び、埋葬した。

 僕は手頃な石を捜して墓石にする。


「タヌキしては手強い奴でしたよ」


 その僕の言葉に、三休は無言で頷く。ただ、

 夜空の赤い満月だけが一部始終を見ていた。

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