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第27話 斬撃と血飛沫

 その朝、フェンリルとヘルの兄妹は亡骸となり、

 川に投げ捨てられていた。

 そして僕は橋の上の野次馬のなかに、

 窃盗団の頭目・キニンジャの姿を見つける。


「お前が殺したのか!」


 と、僕は駆け寄った。だが、人集りの中、

 キニンジャは目を反らせて、こう語る。


「ロキの命令なんだよ。今の俺には、逆らえない」

「窃盗団の頭目が、今はギャングの手下なのか?」

「泥棒なんて、意地も誇りも無い生き物なんだよ」


 キニンジャの口調は、

 どこか自信なさ気で、弱々しい。


「これは悪党の内輪揉めだ。アンタには関係ない」


 そうキニンジャは言ったが、次の瞬間、


「死ねッ!」


 何者かに背後から斬りかかられた。

 それでも僕は瞬時に、


 ササッ、


 身体を翻して、斬撃を紙一重でかわす。

 しかし、さらに、左右から、


「殺せ、殺せ」

「斬り殺せ!」


 剣を振り回す、二人の刺客からの襲撃を受けた。

 この事態に橋の上の野次馬たちが、


「きゃあぁーッ!」

「うあっ、何だ!」


 と、悲鳴をあげて、逃げ去る。

 黒衣を身にまとった覆面姿の刺客は三人、

 キニンジャを合わせれば、敵は四人だ。


「多勢に無勢だな」


 そう言いながら、

 キニンジャも懐から短剣を出し、

 僕は橋の上で敵に囲まれた。逃げ場はない。

 それでも、


「僕は伝説の剣士だ」


 腰の長曽祢虎徹を抜刀した、そして、


 ズバァ、バズッ、ズザン。


 瞬時に三人の刺客を斬り倒す。


「つ、強すぎる」


 と、キニンジャは背を向けて、逃走したが、


「待て」


 追撃した僕は、背後から、


 ズバアァンッ。


 容赦なく、一刀両断に斬り殺した。

 こうして橋の上には四体の死体が転がる。


「これじゃあ、僕も残虐非道だな」


 こんなことは、この異世界に転移する前、

 幕末の京都でも、よくあったことだ。

 この後、僕は一旦、ニューハウンに戻った。

 だが、昼下がりの町の外れで、


「お帰りなさい、総司君」


 と、アヤセに出迎えられる。


「無事だったんだね、アヤセさん」

「私は今、ロキのところにいるの」


 その言葉を聞き、僕は憤りを覚えて、

 やや、きつい口調で、こう言った。


「ロキは、トールさんを殺した首謀者だろう」

「私たちは、皆、犯罪者。所詮、悪党なのよ」

「トールさんは元ギャングでも良い人だった」

「でも、あの人も沢山の人を殺したらしいわ」

「そんなことを言えば、僕だって人斬りだよ」

「トールの殺人は悪事。君の御役目とは違う」


 そんな会話をしながら、

 白昼のニューハウンの港町を歩き、アヤセは、


「ロキが総司君に会いたがっているわ」


 そう言って、僕をロキのアジトへと案内した。

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