第26話 皆殺しの挽歌
僕はフェンリルからの助太刀の依頼を断り、
その場から立ち去ろうとしたが、
その時、フェンリルの妹のヘルが現れて、
「お願いします。沖田さん」
と、僕を引き留めた。
このヘルは黒いメード服姿の美少女で、
僕を幻惑するように、
「兄を助けてくれたら、沖田さんに尽くします」
魅惑的な瞳で、
ジッと、僕を見て甘い声を発する。
それでも僕は、
「何と言われても断りますよ」
フェンリルとヘルを置き去りにして、
その場を去ろうとしたが、突然、ヘルが、
「兄が殺されたら、私も死にます!」
と、宣言して、短刀を握り、
刃を喉元に押し付けていた。これには僕も、
「おいおい、待てよ」
驚いて、慌ててヘルの短剣を取り上げる。
そして僕は視線をフェンリルの方へと向け、
「仇を討ち遂げたとして、その後は、どうする?」
と、問いかけ、さらに言葉を続けた。
「今度は、お前がニューハウンのボスか?」
「いいえ、妹と二人で遠くの町に行くつもりです」
「そこで、何をする?」
「妹は裁縫ができるので二人で仕立屋を営みます」
その言葉を聞いた僕は、
フェンリルの依頼を受けることにした。
「ギャングを辞めるなら、助太刀の件を受けよう」
ギャングの内部抗争に巻き込まれたトールは、
殺されてしまい、
アヤセとの結婚は、できなくなってしまったが、
この兄妹が、どこかの町で仕立屋を開き、
「慎ましく暮らすのならば、僕は手を貸す」
と、その日は、
この宿場町で僕たちは泊まることにしたが、
意外にも宿は混み合っていて、
別々の宿屋に宿泊することになった。
「では沖田さん、明日の朝に」
そう言って、フェンリルは、
妹のヘルと共に安宿に姿を消す。この時、
僕は、この兄妹に禁忌の気配を感じたのだが、
「それは僕が、どうこう言うことではない」
しかし、次の朝、僕は、
フェンリルとヘルの変わり果てた姿を見る。
「な、何ということに」
二人は惨殺され、川に浮かんでいたのだ。
その痛ましい姿を、
橋の上から見物する野次馬が、
「全く、無残な殺され方だね」
「どうせ、この二人も、ろくな奴じゃないだろう」
などと、無責任な顔で、
好き勝手なことを言っていた。そして僕は、
その野次馬の中に、キニンジャの姿を見つける。




