第24話 港町の悲劇
その夜、トールの家で弟が寝た後、アヤセは、
「あんな大金を、どうやって用立てるの?」
と、トールに尋ねた。その問いに対して、
トールは険しい表情を見せてながら、答える。
「賭場の金を強奪するしかないか」
「そんなことをしたら・・・・・」
「今度は、ギャングを敵に回すことになるな」
「だったら私が、その金をコッソリと盗むわ」
「しかし、それが、できるのか?」
「私は、こう見えても腕の良い怪盗なのよ」
そして二人が家から出ようとしたので、
僕も刀を片手に同行しようとしたのだが、
「総司君は、こんな汚れたことに関わらないで」
と、アヤセは僕を制止した。
「でも、しかし」
「あなたは『伝説の剣士』なんでしょう」
さらにトールも、僕の参加を拒む。
「そうだ。これは悪党の世界の話だ」
こうして、トールとアヤセは二人だけで、
ギャングのアジトへと向かった。
しかし、その翌朝、トールの弟が、
「に、兄さん!」
家の前に捨てられた、
トールの死体を発見する。
その亡骸には、カラスの群れが集り、
死肉を啄んでいた。
「な、何て、ことを」
と、僕は怒りに震えた。
おそらくギャングに殺害されたのだろう。
だが、トールの弟は、
「総司さん、兄の復讐なんて考えないで下さい」
そう言って、さらに言葉を続ける。
「総司さんは、このまま都へ行ってください」
「だけど、トールさんは殺された」
「アヤセさんも姿を消したようだし」
「でも、しかし」
「これは犯罪者同士のトラブルです」
結局、僕は、トールの弟の言葉を受け入れ、
ニューハウンの港町から旅立つことにした。
そして旅を続け、数日後、
「伝説の剣士の沖田総司さんですね」
と、宿場町で声をかけられる。
「えっ、なぜ、僕が沖田だと分かったのですか?」
「そのダンダラ模様の陣羽織と腰の刀ですよ」
「そうか。この格好は目立ちますよね」
「実は自分は、トールのギャング時代の相棒です」
そう言った、目つきの鋭い男は、
唐突に、僕に、こう依頼してきた。
「沖田さんの力を、お借りしたいのですが」
「それは、どういうことですか?」
僕の問いに、この男は、
「トールはギャングの内部抗争に巻き込まれて」
殺されたのだと、語り、
「トールの敵討ちに、どうか、ご助力を」
と、深々と頭を下げた。




