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第23話 極悪非道のキニンジャ

 窃盗団の頭目・キニンジャは、

 いやらしい視線でアヤセを見つめながら、

 言葉を吐いた。


「俺たちはカティーサーク号を強奪する目的で」

「私を乗船させた」

「それが、俺から逃げて、漁師の女房か?」

「私は、もう足を洗うことに決めたのよ」


 アヤセは、キッパリと、言ったのだが、

 それを聞いた手下の三人が、


「そんな身勝手が通るかよ!」


 と、アヤセを乱暴に掴み、

 家の外に連れ出そうとする。

 僕はアヤセを助けようと立ちか上がったが、

 その次の瞬間、


「止めろ、お前たち」


 先にトールが手下たちに飛びかかり、

 家の中で三対一の乱闘が始まった。そして、


 バシッ、トガッ、バシン!


 トールは一方的に三人を、ぶちのめす。

 その強さに僕は驚いたが、トールは、ここで、


「さあ、頭目さんは、どうする?」


 と、低い声で凄んでみせた。

 この時、キニンジャは余裕のある態度を見せて、


「さすがだ、あんたは元は名のあるギャングだろ」


 そう言葉を残し、この夜は手下を連れて、

 アッサリと引き上げた。

 だが、深夜のことだ。町が騒がしくなり、

 どうやら火事があったようで、その火事場は、


「弟の店の方だ」


 と、トールは家から飛び出した。


「あっ、トールさん、僕も行きます」

「私も行くわ」

「アヤセ、君は家で待っていろ」


 トールはアヤセを制止して、

 僕とトールの二人で火事場に駆けつけたが、


「遅かったか。弟の店が」


 と、トールは肩を落とした。

 店は全焼してしまったっていだが、

 弟は逃げ出していて、


「兄さん、僕は大丈夫だよ」


 背中に火傷を負ったが、軽傷である。

 トールは弟を家に連れ帰り、医者を呼んで、


「すいません、先生、こんな真夜中に」

「いいさ、医者は患者を助けるのが仕事だ」


 弟の手当てをしてもらい、


「すまない、たぶんオレのせいだ」


 と、ベットに寝かせた弟に頭を下げた。


「兄さん、何かトラブルでも、あったのか?」

「お前は、そんなことを心配するな」

「でも、大丈夫なのか、兄さん」

「オレのことより、お前の店が、こんなことに」


 そして、次の日の昼下がり、今度は、

 キニンジャが一人で、

 トールの家に姿を現した。その時、アヤセが、


「あんたが店に火を付けたんでしょう」


 と、キニンジャに詰め寄ったが、


「止めろ、アヤセ」


 トールが彼女を制止する。

 この時、僕は椅子に座り、黙ったまま、

 ことの成り行きを見守っていた。

 それでもキニンジャは、


「何のことかな、弟さんの見舞いに来たんだよ」


 白々しく、そんなことを言いながら、

 市場で買ってきたらしい果物の籠を差し出した。

 一応、トールは、それを受け取る。


「お気遣いは、有り難く頂くよ」

「なあ、トールよ、俺たちは悪党だよな」

「では、悪党らしく、金で解決しようじゃないか」

「俺は寛大だ。アヤセの件は、金で了承してやる」

「それなら漁船を売って、金を作るよ」

「そんな、はした金じゃあ、足りねえな」


 と、キニンジャは、

 かなりの大金を要求してきたのだが、

 

「いいだろう。準備をするから時間をくれ」


 トールは、その金額の支払いを承知した。

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