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第22話 二人の港町

 港町・ニューハウンに流れる噂によれば、

 アヴァロン島は僕たちを小舟で追放した後、

 第六天魔王の艦隊に攻め込まれて、


「占領されたらしいのよ」


 と、町での噂話を聞きつけたアヤセが、

 トールの家に戻ってきて、僕に語った。

 その噂によると、


「国王も若造大臣も処刑されたらしいわ」


 そうか。あの狡猾な大臣・モルドレッドも、

 第六天魔王の軍勢を相手にしては、

 その命も失ったということなのか。


「アヴァロン王室の奴らは、自業自得よね」


 そう言ったアヤセは、

 やや意地の悪い表情を見せていたが、

 その横顔ですら、美しく魅力的なのは、彼女が、

 悪女である証のようだ。そんなアヤセが、


「私ね、トールさんと結婚することにしたの」


 と、唐突に宣言した。これには僕も、


「えっ、本当に?」


 思わず、素っ頓狂な声で応じてしまう。


「なに、それ、そんなにビックリすことかしら」

「でも、アヤセさんは、窃盗団の・・・・・・」

「それは正直に話したわ。実はねトールさんも」


 アヤセの話によると、トールも数年前までは、

 賭場を取り仕切るギャングの一員だったらしい。

 だが、今はギャングから脱退して、


「家業の漁師を継いで、真面目に暮らしているの」


 それなら、それで良いのかもしれない。

 犯罪組織から更生した二人が、

 港町で慎ましく暮らしていけるなら、これは、

 一つの幸せな人生だ。


「良かったじゃないですか、アヤセさん」


 僕は異世界に転移する前、新選組の一番隊長で、

 多くの人を斬り殺した。その挙句、若くして、

 独身のまま、労咳で死んでしまったのだ。

 そんなことを考えていると、


「それで、総司君は、これこらどうするの?」


 と、アヤセから尋ねられ、僕は、こう答える。


「第六天魔王を倒すために都へ向かいます」


 それが『伝説の剣士』として、

 この異世界に転移した『僕』の使命であった。


「総司君も、この港町で暮らせばいいのに」


 そのアヤセの言葉のように、

 僕もニューハウンの港町で暮らせば、

 穏やかな人生が送れるのかもしれない。


「でも僕は、明日には、ここから旅立ちます」


 しかし、その夜のことだ。四人組の男が、

 トールの家に押しかけてきた。

 そのリーダー格の小太りの醜い男が、

 不敵な笑みを浮かべて言葉を吐く。


「久し振りだな、アヤセ」


 この男は窃盗団の頭目であり、

 アヤセの情夫でもあった、

 極悪非道の盗賊キニンジャであった。

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