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第17話 アヴァロン島のアーサー王子

 帆船カティーサーク号が嵐に巻き込まれ、

 アヴァロン島に漂着した翌日、

 町に出ていたアヤセがホテルの部屋に戻り、

 こう言った。


「この島の王子が重傷を負って帰還したらしいわ」

「なぜ重傷を?」

「騎士団を率いて第六天魔王に戦いを挑んだのよ」


 アヴァロン島のアーサー王子は、

 第六天魔王の武力による支配に抵抗して、

 果敢に戦った。しかし、率いた騎士団は、


「壊滅したらしいわ」


 僕とアヤセが、そんな話をしていると、

 突然、部屋に若い男が訪ねてきた。彼は、


「あなた様が噂の伝説の剣士ですか?」


 そう問いかけてきて、


「私は王室の大臣を務めるモルドレッドです」


 と、名乗る。しかし、なぜ、モルドレッドは、


「僕が伝説の剣士であると、ご存知なのですか?」

「アヴァロンの王室にも諜報機関がありましてね」


 そのモルドレッドの話によると、

 重傷を負ったアーサー王子の命は危うく、


「最期に昇天の儀式を執り行うのですが」


 その介錯人を、

 伝説の剣士である僕に頼んできたのだ。


「見ず知らずの人の介錯をするのは気が引けます」

「ですが、あなた様は伝説の剣士」

「でも、僕は王室に縁もゆかりも無い者ですから」

「無理を承知で、お願いします」


 結局、僕はモルドレッドに何度も頭を下げられ、

 この依頼を受けることにした。そして、次の日、

 モルドレッドにアヴァロン島の神殿に案内され、


「神台に横たわっているのがアーサー王子です」


 と、言うモルドレッドの視線の先には、

 瀕死の若者の姿があった。

 彼がアーサー王子なのか。

 この時、僕は神殿の祭司に、こう尋ねた。


「それで介錯は、どのような形で?」

「神剣で心臓を一突きに」


 と、答えた祭司が、僕に神剣(短剣)を手渡す。


「では、お願いします」


 祭司が深々と頭を下げ、

 僕は王子の横たわる神台へと歩みを進めた。


「う、うぅ」


 王子は苦しそうに、うめき声を漏らし、

 薄っすらと目を開け、僕の顔を見た。


「うっ、うう」


 瀕死の王子には、言葉は出せないようだ。

 今、この神殿にいるのは、

 僕とアーサー王子、祭司、国王と王妃、

 それに大臣のモルドレッドの六人だ。僕は、


「・・・・・・・・・」


 無言のまま王子と視線を合わせ、

 そのまま心臓を狙い、


 ズブリ。


 神剣で王子の胸部を貫く。


「あがぁ」


 短い断末魔。

 神剣を引き抜くと多量の血が噴き出して、

 王子は死亡したようだった。そして、

 国王は僕に向かって、


「ありがとう、ございました」


 深々と頭を下げ、礼を述べる。

 その傍らで王妃が静かに涙を流していた。

 最後に祭司が、


「王子の御霊よ。天の神のもとへと昇天せよ」


 と、言葉を発して、皆が祈りを捧げた。

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