第12話 丈一との戦い
黒十一斎の診療所から出た僕は、
代官の丈一と、その四人の手下に囲まれた。
往来を歩いていた手塚宿の人々は、
この様子を見て、足早に去って行く。
「第六天魔王様からの命令だ。死んでもらう」
丈一は僕に向かって、冷酷な声で言葉を発した。
そして、ギロリと鋭い眼で、僕を睨むと、
「殺せ」
と、手下に命じる。次の瞬間、
「死ねッ!」
四人の手下が一斉に斬りかかってきた。
だが、僕は刀を抜き、
ズバッ、バスッ、バスン、ズバン。
奴らを瞬時に斬り倒す。
「さすがは近藤さんの虎徹だ。よく斬れる」
それを見た丈一は、
「ほう、なかなかヤルな。しかし俺は強いぞ」
そう言いながら、余裕の笑みを見せていた。
「俺は腕一本で代官にまでなった男だ」
「僕は新選組の一番隊長だった」
「知らんな、そんなものは」
「別の世界の話だよ」
この時、診療所から鈴花が飛び出してくる。
「丈一兄さんも総司も、もう止めて」
「これは代官としての務めだ」
「あの正義感が強かった、兄さんが」
「俺は生きるために強さを選んだのだよ」
「そんな強さは間違っているわ」
「鈴花、お前も一緒に、この手塚宿を支配しよう」
「恐怖での支配なんて、あたしは嫌よ、兄さん」
そこへ三休狂雲も出てきて、鈴花を諭すように、
「危険だ。下がりなさい、二人は止められない」
と、言葉を発した。この三休の言葉に、鈴花は、
「和尚さん、丈一兄さんを真人間に戻して下さい」
すがるように訴えたが、三休は、
「無理だ。彼は彼の正義で生きている」
諦観したような言葉で応える。
僕は無情な兄妹の運命を目の当たりにして、
この世の不条理さを感じだ。だが、丈一は、
「お喋りは終わりだ。死ね、伝説の剣士」
と、一歩、間合いを詰めてくる。そして、
「とりゃーっ」
鋭い斬撃を放った。しかし、僕は、
サッ、
その剣を紙一重で避け、
「イヤアーッ」
気合一閃、上段から、
バズンッ!
丈一の頭を叩き割った。
ブシャッ。
脳天から血を噴き出した丈一は、
「・・・・・・・」
断末魔の声を発する間もなく、その場に、
バタリッ、
と、倒れる。おそらく即死。それを見た鈴花は、
「嫌やーッ!」
叫び、泣き崩れた。




