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風の精霊に選ばれた転生テイマーは、もふもふ精霊と癒しを紡ぐ旅に出る  作者: 御手洗


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28/29

-風、北を指す-


湖の都アルメリアに、ようやく静けさが戻った。


濁っていた水は澄みわたり、空を映すほどに透明になった。

人々は湖のほとりに集まり、光に手を合わせていた。


「ありがたい……また水が、戻ってきたんだな」

「風の子とその仲間に、祝福を!」


その声に、ルークは少し照れくさそうに笑った。

フィーネが尻尾を揺らし、ピューイが嬉しそうに空を舞う。


「ルーク、よくやったな。」

ガルドの大きな手が、ルークの頭をくしゃりと撫でた。


「ガルドのおかげだよ。僕、ひとりだったら……」

「もう“ひとり”じゃねえだろ。」

「……うん。」


ルークは胸元の“息の石”を見つめた。

そこには、リュミエールの残した淡い光が宿っている。


(風と水が繋がった……でも、まだ終わってない気がする)


夜、宿の窓辺で、ルークは外の風を感じていた。

その風の中に、確かに聞こえた。


――北の風が、乱れている。


「……リュミエール?」

小さな囁きが、風とともに消える。


翌朝、出発の支度を整えたガルドが言う。

「少し休んでもいいんだぞ。湖の修復にも人手がいる。」


「ううん。風が……呼んでる気がするんだ。」


「呼んでる?」

「北の方。そこに“泣いてる声”がある気がする。」


アルトが荷車を直しながら、思い出したように言った。

「そういや北の『星見の谷』の森が枯れかけてるって噂を聞いたな。誰も近づけねぇって。」


「……森が、枯れてる?」


ルークは空を見上げた。

風が北の方角へと流れている。まるで導くように。


「決まりだな。」ガルドが肩をすくめる。

「風の子が言うなら、行くしかねぇ。」


フィーネが笑い、ピューイが鳴いた。

旅は再び始まる。


ルークは背に風を感じながら、静かに誓った。

「今度こそ……誰も泣かせない。」


そして一行は、北の森へと歩き出した。


――その先に、まだ知らぬ“命”との出会いが待っているとも知らずに。

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