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風の精霊に選ばれた転生テイマーは、もふもふ精霊と癒しを紡ぐ旅に出る  作者: 御手洗


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第24話 水底へ続く道


湖の都アルメリアの朝は、霧と光が混じっていた。


「湖の底へ行くには、“息の石”が必要だ」

アルトが地図を広げ、指で示した。

「それを扱えるのが、この街の治癒士ミリアだ」


「ミリア……?」


ガルドが小さく目を伏せる。

「……昔の仲間だ」


ルークは首をかしげた。

「ガルドの仲間って……アルトさんと同じパーティーの?」


「ああ。ミリアは回復魔法の使い手でな。

俺たちの命を何度も救ってくれた」


フィーネが尾を揺らす。

『やさしそうな人なの?』


「ああ、やさしすぎるぐらいの人だ」


アルトが苦笑した。

「今はギルドの依頼を離れて、聖泉のほとりに診療所を構えてる」


――聖泉。


それは、湖に流れ込む七つの泉のひとつ。

水の精霊に祝福された土地と呼ばれていた。


「よし、行こう!」

ルークは勢いよく立ち上がった。

ピューイが羽を震わせ、フィーネがついてくる。


ガルドはそんなルークの姿を見つめ、口の端をわずかに上げた。

「……本当に、強くなったな」


アルトが小さく目を細める。

「ふむ……“風の子”とは、こういう少年か」



聖泉のほとりは、淡い青光に包まれていた。

水面には花びらが浮かび、どこか懐かしい香りがする。


「――ガルド?」


澄んだ声が響いた。

振り向くと、白衣をまとった女性が立っていた。


彼女は穏やかに笑う。

「まさか……あなたがまたこの街に来るなんて」


ガルドは目を伏せ、短く答える。

「助けが必要だ。……湖の底へ行きたい」


ミリアは驚きに息をのむ。

「リュミエールの沈黙に関係があるのね?」


「ああ。頼みがある、“息の石”を貸してほしい」


ミリアは少し黙り、それからルークを見た。


「……その子が、“風の子”ね」


「えっ……?」


「湖の精霊の声が言っていたわ。

“風の子が、再び加護を呼ぶ”って」


ルークは胸の奥があたたかくなるのを感じた。


風が吹く。

水面がゆらぎ、まるで何かが“目を覚まそう”としているようだった。


ミリアが微笑む。

「息の石を渡すわ。ただし――命を落とす覚悟がいる。

それでも行く?」


「……うん。だって、助けを待ってる声が聞こえるから」


フィーネとピューイが力強く鳴いた。


ガルドは静かに頷く。

「行こう、ルーク」


湖の底へ――

新たな加護を求めて。

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