アイドルオタクがアイドルオタクを辞めるまで 一推し
推し
最近は推し活が流行りだという。
オタクであれば、1人や2人は推しがいるだろう。
何故こんなにも、
私にとって推しが特別なのか、それは考えてもわからない。
地下アイドルにとって、面白く下ネタに対応できることは、まぁ結構必須だったと思うが、
推しはオタクの前で、下ネタを延々続けることを嫌った。
推しの理想のアイドル像に反したのだろう。
アイドルなんで、トイレも行きませんって言ったときは、たまらなかった。
理想を、夢を、ステージの上でオタクに見せてくれようとしていた。
推しは、
全てが可愛かった。
容姿も、言動も、ステージパフォーマンスも、書く文章も、自信のなさまでも、
全てがキラキラと、魔法の粉を振りかけたようだった。
多分、建前だろう。
私は推しの見せる夢に溺れたのだ。
全肯定盲目オタク、
それが私だった。
そして今も夢を見ているのだ。
アイドルでなくなった後に奇跡的にしてくれたツイキャスで、
実はトイレに行きますと言った推しは非常に可愛かった。
私はアイドルオタクを辞めたのだ。
今は過去にアイドルだったことがある一般人のオタクだ。
私はただ、過去のチェキや動画を眺めて、待っている。
推しが何か私に売りつけてくれないかと待っているのだ。