五話
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「何か困っている事などあるの?」
家までおばさんに送り届けてもらい、部屋の中で尋ねられる。
「いえ、そんな事」
「本当の事を言ってちょうだい」
どうやらこの方は大方気付いているようだ。
いや、大方どころか全容を判然としているだろう。
「うちの娘、恵利佳|の事ね?」
慈優は答えない。否、答えられない。
「慈優ちゃん、はっきり答えてちょうだい。貴方が直接口上しないと何も進まないわ」
仰る通りだ。しかし、答えようにも口上できない。
「これだけは言っておくわ。貴方は何も悪くない。貴方自身を責める必要なんてないのよ。
私も恵利佳も慈優ちゃんに感謝しているのだから」
「僕に感謝する必要なんてないです。彼女には申し訳ない事をしてしまいましたので」
「どういう所に申し訳なく感じているの?」
「それは…」
「私に構わず、有り体に」
「それは、恵利佳ちゃんの好意を無下にするような事をしてしまったからです」
忘れられたくても忘れない。あれこそ苦境だった。
想起すると頭痛がする。
「ううん。慈優ちゃん、そんな事無いわ」
暖かい手が自身の手を包み込んだ。
「貴方は私達家族を助けてくれたのよ。迷惑どころか感謝しているの。
そうやって慈優ちゃん自身を責める方が私達は悲しいわ」
引き寄せられ、抱擁される。
暖かく、安心を感じる。
「今すぐにとは言わない。けど、恵利佳と向き合ってあげてほしい。これは私の真率なお願い」
ああ、この人はまっすぐ僕と向き合ってくれているんだなと慈優は感じ取った。
「慈優ちゃん、気持ちの整理はついた?」
「はい、ありがとうございます」
「いえいえ、どういたしまして。なにかあったら今後も連絡してね」
「はい、ありがとうございます」
「慈優ちゃん、髪かなり伸びているわね。そろそろ散髪する頃じゃないかしら?」
「僕もそろそろ散髪に行こうかと思いました」
「なら、行っちゃいましょう」
おばさんの発言の趣旨が慈優には判然と伝わった。
「そうですね。僕も恵利佳ちゃんと向き合います」
「ありがとう。あの子には私から連絡を入れておくわ」
「ありがとうございます。お願いいたします」
おばさんと別れてから、夕飯を済まして入浴を終えた後にスマホを確認すると、
恵利佳の店に予約が取れたと、おばさんからメッセージがあった。
驚いた事に明日店を貸し切って、お出迎えするとの事だった。
(おどろおどろしいな)
思わず、笑ってしまった。
しかし、それほど自身の事を思ってくれているのだと嬉しくなる。
今まで避けていたが、明日久しぶりに会えると思うと、暖かい気持ちだった。
ありがとうございました!
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