ドア
Welcome と描かれた
プレートに
セールスお断り、の札
明快なようで曖昧な境界は
それに似ていて
軽快なノックに
はあい、と返しながら
鍵をかける日もあれば
息を殺して、
けれど
恐る恐る
わずかな隙間を
開ける日もある
気分屋ね、と
呆れられても
理由をレポートのようには
綺麗に並べられなくて
もどかしさにつかえたまま
音も立てずに──
誰彼かまわず
前向きに迎え入れるなんて
出来ないくせに
塞ぎ込み
固く
固く閉ざし
囚われた日には
ドアの外
植木鉢の下から
誰かが
鍵を見つけ出し
光が射すのを
きつく目を瞑り
願っている
最後のチェーンを
外すのは
結局のところ、
私だとしても