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14 オパールの思惑

文章が稚拙なのでちょいちょい改稿します。

 オパールは嬉しそうに答える。


「そうですわ、お姉様は今日から毎日(わたくし)と一緒ですわ!!」


 そう言うとアリエルの前方に回り込み手を取ると嬉しそうに左右に振った。


「今夜の晩餐で着るドレスは(わたくし)が素敵なものを準備したんですのよ? お姉様はプレゼントを嫌がるかもしれませんけれど、一度お姉様のドレスを汚してしまったんですもの、これぐらいはさせてくださいませ。それにあのドレスならきっとお兄様も喜びますわ」


「オパール、舞踏会でのドレスに関しては本当に気にすることはありませんのよ?」


「わかってますわ、でもこれは気持ちの問題ですの。それにお姉様を本物のお姉様にするために、お兄様には頑張ってもらわなくてはならないし!」


 アリエルは優しくオパールを撫でた。


「そんな心配しなくても、いつまでもオパールは可愛い(わたくし)の妹であることに変わりはありませんわ」


 いずれオパールはアリエルに飽きて離れていくだろう。そうだとしてもそれまでアリエルはオパールに寄り添うつもりでいた。


「お姉様はそう言って下さるかもしれませんけれど、(わたくし)はそれでは満足できませんの!」


 そう言うと、オパールはアリエルを抱き締めて見上げた。


「お姉様、別荘内を案内しますわね!!」


「こら、オパール。アリエル嬢は今着いたばかりなんだから疲れているだろう。案内は明日にしたらどうだ?」


 その声に振り向くとヴィルヘルム・ルー・ハイライン公爵令息が立っていた。


「お兄様……、それもそうですわね」


 そう言うと、オパールはアリエルから体を離した。


「申し訳ない、オパールは君とここで過ごせることが嬉しくて仕方ないみたいだ」


 ヴィルヘルムはそう言ってアリエルに微笑む。


「それは(わたくし)も一緒ですわ」


 そう答えると、アリエルは挨拶を忘れていたことに気づく。


「挨拶が遅れて申し訳ありません。はじめまして、ハイライン公爵令息。ハイライン公爵令嬢には常々お世話になっております」


 そう言ってアリエルが膝を折ると、ヴィルヘルムはそれを制した。


「いや、そんなにかしこまらないでくれ。オパールから君の話はよく聞いている。それに、世話になっているのはオパールの方だろう?」


「いいえ、そんなことはありま……」


「そうなんですの!!」


 否定しようとするアリエルを遮りオパールが話し始める。


「お姉様はとっても優しいんですのよ? それにちゃんとダメなことはダメって言ってくださるし、こんなに(わたくし)のこと思ってくれる方はいませんわ」


「そうか、よかったねオパール」


「はい! だからお兄様、早いところお姉様を本当のお姉様にしてくださいませ!」


 アリエルは一瞬呆気に取られると、ヴィルヘルムの顔を見て苦笑した。ヴィルヘルムは困ったようにアリエルに微笑み返すと、オパールに優しく言った。


「ほら、そんなことを言ってはアリエル嬢を困らせてしまうだろう?」


「でも早くしないと、お姉様をエルヴェに取られてしまいますわ!」


 アリエルはそれをやんわり否定する。


「オパール、それはありませんわ。王太子殿下はアラベルに夢中ですもの」


 するとオパールは驚いた顔をしてアリエルを見つめると、ヴィルヘルムに向き直る。


「ふーん。ですってお兄様! 今のうちですわ!」


 ヴィルヘルムは苦笑する。


「婚約者候補にそんなことをしては、エルヴェに殺されかねない」


「お兄様、関係ありませんわよ! お姉様の気持ちが大切ですわ」


 そう言うと、オパールはアリエルの顔を覗き込む。


「ね、お姉様」


 アリエルはどう答えて良いかわからず、笑って誤魔化した。


「とにかく、そんな話をこんなところでするものではないな。アリエル嬢、部屋へ案内しよう。晩餐までまだ時間がある。少し休んでから着替えてきてくれ」


「はい、わかりました」


「お姉様のお部屋は(わたくし)の部屋のお隣なんですのよ」


 そう言ってオパールはアリエルの手を引いて歩き始めた。荷物は話している間に使用人たちが部屋へ運び込んだようだった。


「お姉様、またあとでね」


 部屋の前でオパールやヴィルヘルムと別れ、アリエルが部屋へ入るとアンナが先に部屋の中を整えてくれていた。

 持ってきたドレスもほとんどがチェストにしまわれている。


「お嬢様、お疲れでしょう? お茶の準備を致しますね。それから着替えて食堂に行きましょう。オパールお嬢様がとても素敵なドレスを用意してくださってますよ」


「アンナ、貴女も疲れているでしょう? 一緒にお茶を飲まない?」


 アリエルはそう言ってこの長旅に付き合ってくれているアンナを労った。


 一緒にお茶を飲んで一息つくとアリエルはアンナに質問した。


「ところでアラベルの私物が(わたくし)の部屋に紛れ込む件についてはどうなっているのかしら?」


「はい、実はお嬢様が旦那様にお話しになられたので、あのあと旦那様が直々に調べると仰って、だから全てお任せしてしまいました」


「そうなの」


 そう答えてしばらく考え込むアリエルに今度はアンナが質問する。


「お嬢様、心配ですよね?」


「いいえ、違うの。お父様は犯人に心当たりがあるのかもしれないって考えていたの」


「旦那様がですか?」


「そう。でも(わたくし)に心配させまいと黙っているのかもしれないわ」


 そう言うと持っていたティーカップをソーサーに戻して、アリエルは立ち上がった。


「もうそろそろ着替えたほうがいいわね」






 着替えて食堂へ行くと、ヴィルヘルムとオパールもちょうど食堂へ来たところだった。


 ヴィルヘルムは、食堂へ来るなりアリエルの姿を見ると言った。


「うん……、似合っている」


「ありがとうございます」


「お兄様、そんな褒め方野暮ったいですわ。素直に『綺麗だ、美しい』って仰ったらいいですのに。ほら、もういいから座りますわよ!」


 オパールはそう声をかけると、ヴィルヘルムの横をすり抜けてさっさと席に着いた。ヴィルヘルムはそう言われてもなおしばらくアリエルを見つめると、はっとして言った。


「すまない、少し見とれてしまっていたようだ。ホラント家の双子の美しさは社交界でも有名だが、こうして本人を間近で見ると噂以上だとわかるね」


「お褒めに与り光栄ですわ」


 アリエルがそう言って微笑んで返すと、ヴィルヘルムが椅子を引いてくれたのでそこへ座る。そして、ヴィルヘルムもそれに続いて横へ座った。

誤字脱字報告ありがとうございます。


※この作品フィクションであり、架空の世界のお話です。実在の人物や団体などとは関係ありません。また、階級などの詳細な点について、実際の歴史とは異なることがありますのでご了承下さい。


私の作品を読んでいただいて、本当にありがとうございます。


個人的にDMで返事をさせていただいていたのですが、あまりにもご指摘をいただくことが多いのでこちらにて失礼致します。


時々誤字脱字にてご指摘いただいているパイプラインの削除に関してですが、ルビを入れるための仕様です。


このパイプライン→|を消してしまうとルビをつけることができなくなってしまうので、ご理解のほどよろしくお願い致します。


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