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殺してくれてありがとう  作者: 絶対完結させるマン


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彼の父はタイムリーパー?

 「ん……」


 もぞ、と布団の中で身動きする。少しずつ頭が覚醒していき、今何時だ、と寝る前に近くに置いてあった携帯を手繰り寄せる。

 4時か。まだ眠れるけど……今からもう一度眠る気にもなれない。


 喉がカラカラに渇いていることに気付き、水を飲むべく台所に向かった。

 八代の家に紙コップがあって良かった。水音を立てないように蛇口をゆっくりひねる。


 台所の小窓のガラス越しに外を見ると、空が白み出していた。じきに太陽が濡れそぼった街を照らすだろう。


 無事に喉を潤し、ベッドにいる家主を窺う。

 規則的な寝息を立てている。起きる様子はなさそうだ。

 眠るつもりはなかったが、再び布団に横たわった。


 時間が経つのをのんびり待つか……。

 そう思って右向きに寝転ぶと、闇に慣れた目が何かを捉えた。


 目を凝らすと、それが四角く薄い物であるらしいとわかった。

 ベッドの下にあり、手を伸ばせば届きそうだ。


 八代がベッドの下に物を置く人間には見えなかったので、少しばかり好奇心が湧いた。もしかしたら失せ物かもしれない、と思い当たり、私はそれを引っ張り出した。


 触ってみるとどうやら手帳らしかった。スベスベした革の感触が指に馴染む。


 少し迷って、ベランダに出ることにした。外は既に結構明るいので、問題ないだろう。

 そう。私は手帳の中身を盗み見しようと思った。むろん葛藤はあったが、それよりも好奇心が勝っていた。


 八代の様子を気にしながら、そうっと窓を開けベランダに出る。起きる気配はなく、ホッとした。

 手帳には、そこだけ開きやすくなっている部分があった。何度もそのページだけ確認したようだ。


 気になって、冒頭を無視して開きやすくなっている箇所を開く。

 中身は日記のようだった。日付と共に文章が綴られている。


 上から順に読んでいって、これは八代の父が書いたものだとわかった。会社や息子・妻だと思わしき人の名前が、随所に散りばめてある。


 羅列されている文字の中から見つけたある文章に、私の目は釘付けになった。


 俺がタイムリープしなければ、襟人は生まれなかったんだよなぁ。


 タイムリープ。八代の父親がタイムリーパー? しみじみしたその文体を、食い入るように眺めた。


 「若葉? ベランダにいんのか?」

 後ろからした声に、ハッとする。カラカラと窓を開ける音がして、とっさに手帳を服の中に隠した。

 「目が覚めちゃって」

 手帳が落ちないように、両手を腹の前で組み合わせて、服の上から押さえつける。


 さりげなく出来ているだろうか。違和感がないように出来ているだろうか。内心バクバクしながら、笑みを浮かべる。


 「そうか。おはよう」

 「おはよう」

 挨拶を交わすと、すぐに八代は家の中に入っていった。

 私もそろそろ出る準備をしなければならない。

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