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ファミレスで
翌日の放課後。私はファミレスで八代と向かい合っていた。
幸は、今日はお姉さんがいるらしいので自分の家に帰った。
家にいるときも鍵をかけることと、誰か訪ねて来ても相手を確認してから出ることを再三伝えて、幸と別れた。
幸を送り届けた後、八代に近いうちに時間を取れないかメッセージしたら、『今日なら空いてる』と返信が来た。
『会って話せない?』と私が送って、じゃあファミレスでとなった。
私たちのいる店に他に学生はいなかった。学生はみんな駅近のファストフード店か、格安のイタリアンレストランに行く。
それを見越してか、八代がここを指定した。
「すいてるね」
「まだ5時にもなってないからな」
何とはなしにそんな会話をする。この時間じゃ学生が来なければ、店内はガランとしている。
互いにドリンクバーで飲み物とおしぼりを用意し終わり、いよいよ本題を切り出した。
「それで聞かせて貰いたいんだけど。“あの事”って何なの?」
「ああ。少し長くなるけど……」
八代は静かに話し始めた。