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私は覚えるのが苦手だ

作者: だるまんず

 大化の改新は645年。

 なぜかそれだけは覚えている。

 でも、それが何のことかは全く覚えていない。

 たぶんこれを覚えている人は多いだろうが、これが何かに使えるとしたら、クイズ番組に出演した時に偶然出題されたらラッキー程度で、それ以外の使い道を思いつかない。もちろん、歴史研究をしている人には必要な知識だろうけど、それすら年表を見ればわかる話。


 テキストを開けば書いてあることを覚えておく必要があるのか、という疑問が子供の頃からあった。

 ○○海峡を発見した人物の名前、なんかも一向に覚える気が起きない。

 世界史のテストで100点満点で14点という輝かしい記録をたたき出し、教科書に書いてあることを覚えて何の意味があるのだと訴えても成績は最低だった。

 覚えていたはずの「いい国作ろう」は実は間違っていたなんてことあるわけで、覚えていても間違っていても何も困らない。


 最近のニュースで、入試問題が流出して不正に合格している人がいる、と話題になっている。

 私はこんな人間こそ進学して学ぶ機会を得るべきだろうと思う。

 一人で答えを導き出せることは大切かもしれないが、テキストを見たり、そういう分野に強い人間を頼れる人間は、一人で答えを導き出せる人より優秀だろうと思う。なぜなら、どんな分野でも自分がまったく知らないことであっても答えを出せる方法を持っている方が優秀だと思うから。禁止されているのを知りながら、監視の目をかいくぐって実行するのも優秀。


 いっそネット経由で誰かに解いてもらうような方法も含めてなんでもアリと公式に認めてしまうならば、問題を解いてやろうというネット住人も待ち構えるだろうし、不正自体が消滅する。もし、問題を解いてもらえる人物にまでたどり着けない程度であれば、今の時代には優秀とは言えない。もちろん、自力で正解を出せるならそれは優秀だけど、勉強したこと以外には弱い。求められる問題の全てに答えられるソースを必ず脳内に収めておくなんてことは非効率極まりない。


 学校を出てから、仕事で何かをする時、もちろん記憶しておかなくてはならないことは多くあるが、正確な情報が参照できる体制があり、繰り返し使うことで正しい知識が覚えると言うより身についていく。もちろん、そこで覚えることは学校の教科で覚えたこととは関係がない。

 どこまで行っても大化の改新は出てこない。


 例えば辞書は、あらゆる言葉を網羅し記録している。

 脳の中にこれを覚えてしまえば、どんな言葉の意味を問われても答えられる。

 でも、何も覚えてなくても、その辞書の存在と使い方を知っていれば、同じ答えが出せる。


 昔は必要な情報も記憶するか、重い辞書を持ち歩くかしないと活用が難しかったが、今はクラウド上に何でも揃っている。記憶力なんて多くは必要ない。


 必要な能力とは、情報のある場所を知っていること、もしくは探し出せること、そしてアクセスして答えを引出し判断し活用できることだろう。

 脳内にアクセスできる場所が多ければ処理は早いが、脳内以外の方が情報量が多い。


 と、記憶力が無い私が自分の無能さをごまかす論理を組み立てたわけですが、資格試験なんかでは法令の条文を丸暗記していないと解けないような問題が多いんですよね。「誠実に行う」を「正確に行う」と間違えて点数が取れなかった悔しさ。誠実であれば正確でなくていいのかと、正確に行うことが誠実さの証ではないかと。法の意図より丸暗記が重要なのかと。文句を言ったところで社会の構図がそうなっている以上、丸暗記はまだまだ重要視されている分野です。


 でも、私は覚えるのが苦手だ。

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