こぎつねこんたとながれぼし
もりのひろばで、どうぶつのこどもたちがたのしそうにあそんでいます。
こぎつねのこんたは、それをきのかげからじっとみていました。
「いいなあ、ぼくも……」
こんたがつぶやいたとき、くまのこがこちらをむきました。
こんたはどきっとして、あわててはしってにげだしてしまいました。
つぎのひも、どうぶつのこどもたちはたのしそうにあそんでいました。こんたはきょうも、こっそりみています。
すると、こんなこえがきこえてきました。
「きょうは、ながれぼしがみえるんだって」
こんたは、きのかげからすこしかおをだしました。
「ながれぼしって、なあに?」
りすのこがいいました。
「おほしさまが、そらをひゅーんってながれていくんだよ」
うさぎのこがいいました。
「しってる、ながれぼしにおねがいごとを3かいとなえると、おねがいがかなうんだよね!」
くまのこがとくいそうにいいました。
「そうなの?おねがいごと、してみたいな」
りすのこがいいました。
「きょうのよるはおそらをみてみよう!」
おねがいがかなうって?
こんたはおもいました。
なんてすてき!ぼくも、ながれぼしにおねがいしよう!
こんたはよるがまちどおしくなりました。
よるになって、こんたはそとにでてみました。
そらにはほしがたくさんでていて、とてもきれいでした。
けれど、きらきらひかっているだけで、ひとつもながれません。
もっとたかいところなら、みえるかしら。
こんたは、きにのぼってみました。
でも、ながれぼしはなかなかみつかりません。
ちぇ。ながれぼしなんて、みえないじゃないか。
あきらめて、かえろうとしたときです。
きらっ
そらのはじっこで、なにかがひかりました。こんたがあわててそちらをみると、
ひゅうっ
ほしが、そらをながれるのがみえました。
こんたはいそいでおねがいごとをいおうとしました。けれど、もう、ながれぼしはみえませんでした。
くびをのばして、ながれぼしがおちていったほうをみてみました。
なにもありません。
でも、こんたはおもいました。
もしかしたら、ながれぼしがどこかにおちているかもしれないな。みつけたら、ぼくのおねがいをかなえてくれるかもしれないぞ。
つぎのあさ、こんたはながれぼしをさがしにいきました。
「たしか、こっちのほうにおちていったぞ」
こんたはもりのおくへあるいていきました。
こんたは、くさのあいだや、きのかげをのぞきこみました。きのうえのほうも、せのびをしてさがしてみました。
「ながれぼし、どこだよう。でておいでよう」
こんたはだんだんつかれてきて、みつからないのがかなしくて、なみだがでそうになりました。すると。
きらっ
きのそばで、なにかがひかったのがみえました。
こんたはいそいでかけよりました。
おちていたのは、きつねのにんぎょうでした。
「なあんだ、おにんぎょうか」
こんたはがっかりしました。
でも、よくみると、にんぎょうのむねには、ぎんいろのほしのぼたんがついていて、きらきらとひかっています。
「もしかして、きみがながれぼし?」
くちにだしてみると、こんたはほんとうにそのとおりのようなきがしました。
こんたはうれしくなりました。そして、にんぎょうをぎゅっとだきしめました。
こんたは、はしってかえりました。とちゅうで、もりのひろばのそばをとおりました。
ひろばでは、どうぶつのこどもたちが、いつものようにあそんでいました。
こんたはどきっとして、きのかげにかくれました。
「いま、なにか、ひからなかった?」
うさぎのこがいいました。
「そう?きがつかなかった」
くまのこがいいました。
こんたはまた、にげだしたくなりました。
「あ、きつねのこがいるよ」
きがつくと、りすのこがこんたのすぐそばまできていました。
「ほんと?」
「ほんとだ」
うさぎのことくまのこもよってきました。
こんたはどきどきしました。
「こんにちは。そのおにんぎょう、すてきね」
うさぎのこがにこにこしていいました。
「ほんとうだ。ほしのぼたんがきらきらしているね」
くまのこが、めをまるくしていいました。
「あなたのおなまえは?」
りすのこが、こんたのかおをのぞきこんでききました。
こんたは、きつねのにんぎょうをみながら、ちいさなこえでこたえました。
「ぼく……こんた」
ほしのぼたんが、きらっとひかりました。
こんたには、きつねのにんぎょうが、がんばって、といっているようにみえました。
こんたはどきどきしながらいいました。
「ぼくも、いっしょにあそんでいい?」
りすのこが、こんたにてをさしだしました。
「もちろん。こんたくん、いっしょにあそぼう」
「みんなでいっしょにあそぼう」
くまのこも、にっこりしていいました。
「あそぼう!そのおにんぎょう、もっとみせて」
うさぎのこもわらっていいました。
こんたはとてもうれしくなって、むねがいっぱいになりました。
ながれぼしが、ぼくにゆうきをくれたんだ。
こんたのえがおも、きらきらとかがやきました。
お読みいただきありがとうございました。