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【リレー小説】異能力が溢れるこの学園で青春しながらてっぺん目指す  作者: 波羅月&まぼろし&ひろたかずや
1章 入学試験編
6/9

06.きらきらひかる (ひろたかずや)

  

 無理だっ!絶対に無理!


 森の中。静けさを打ち破りながら複数の足音が駆け抜けていく。


 一方は逃げ惑うウサギのように。もう一方は哀れな小動物をじわりじわりと追い詰めるオオカミのように。


 明らかにレベルが違う。こんな奴らと正面から戦うなんて、やっぱり無謀すぎる!


「受験番号は403番か…。意外とすばしっこいな」


 俺の背後、その距離数メートルにまで迫ったケイサツはそうつぶやいた。


 追手はこいつだけじゃない。右前方の木の影と左前方の崖の上に一人。ちょうど三角形で囲まれる形だ。確実に俺をマークしていて、どうやらここで脱落させる気らしい。


 迫り来る木々をギリギリで避けながら、精一杯の速度を保つ。それなのに、一つ。また一つと退路を潰されていく。いくつも考えていた逃走ルートはあっという間に塞がれてしまった。


 どれだけ走っても振り切れない。それどころか、もう手遅れなほど追い詰められていく。どうにかして抜け道を見つけなくては。


 奴らとの距離は数分前よりも遥かに俺に近づいてきていた。ケイサツ一人でも圧倒的な力を持っているのに、三人なんて相手できるはずがない。


 さっきまで鬱蒼とした森の中にいたのに、もうだんだんと視界が開けてきた。もし平地なんかに出てしまったら一瞬で囲まれて終わりだぞ。


 くそっ。こうなりゃ無理矢理にでも切り開くしかねぇ!


 拳を握る。滲んだ汗が指を伝う。


 一か八かの大勝負。右前方にいるケイサツに向かって大ジャンプ、からの右ストレートを喰らわせて、その隙に─


 擦りでも、当たらなくてもいい。とにかく相手の意表を突ければ逃げ道も生まれるはず。時間がないから脳内シミュレーションは一度だけ。それの中では上手く行った方だと思う。


 ただやはり、現実は想像よりも、いつもちょっぴり残念なものである。


 ジャンプしようと右足を踏み込んだ瞬間、ちょうど地中から数センチ飛び出ていた木の根に引っかかる。支えを失った身体が、元のスピードのまま半回転。そのまま手をつく暇もなく、地面と並行に打ち付けられた。


 砂埃と枯葉が盛大に舞う。これ以上ないというほどの派手な転び方。


 なんと無様であろうか。実に呆気ない最後だ。


「まぁ、よく逃げた方だと思うぞ少年。だいたい15分くらいか」


 腕につけた時計をチラリと見ながら、俺の背後にいたケイサツが近づいてきた。


「そのまま大人しくしてな。そうすりゃ乱暴な事はしねぇよ」


 ちくしょう。ここで終わりかよ。


 全力疾走した疲労が今になって襲いかかる。酷使された両足はズキズキとした痛みを訴える。いよいよ観念して、身を委ねようとしたその時。



「なんであんたがここにいるのよ!!」



 聞き覚えのある甲高い声。それもつい最近聞いたばかりだ。発生源は北西。突然発せられた奇妙な音に、その場にいた全員が目を向けた。


 崖の上にいたのは金髪の女性。ケイサツと思われる男を、文字通り尻に敷いて、まんまるに丸くした目で俺を見つめている。


 これだ、少し癪だがあいつに頼るしかない。


「お前!今すぐ金貨を見ろ!!!」


 正真正銘、最後の力を振り絞ってそう叫ぶ。口に入った土が唾と共に飛ぶ。



 何かの罠だろうか、彼女は最初にそう思った。でもあの叫びはかなり本気らしくて、彼の気迫も相まって少々呆気に取られてしまった。


 そういうわけで、一応金貨見てみようと右足のポケットから素早く金貨を取り出す。配られた時となんら変わりのない普通の金貨。表には自分の受験番号、404の数字が刻まれて─



 どうやら彼女は理解したらしい。彼女の持っている金貨は俺ので、俺の持っている金貨は彼女の物だ。つまり、この絶体絶命のピンチは俺のものではなく、彼女のものであると。


 崖の上にいる女は素早く口を動かす。何を言っているかさっぱり分からなかったが、最後の一節だけは聞き取れた。


「─撃ち落とせ小燁星(キラキラぼし)


 試験開始から数時間が経過して、だんだんと薄暗くなってきた空にキラリと光るもの。その数三つ。


 そんな光が現れてからたった数秒後。今にも俺の金貨を没収しようと、身をかがめていたケイサツが突然地面に叩きつけられた。


うがっ…!


 短い断末魔だけを残した彼に、起き上がる気配は感じられなかった。


 遅れてまた数秒。異常事態を察した残り二人のケイサツが、俺から急いで距離をとる。そんな彼らが攻撃を仕掛けようとするよりも早く、第二、第三の小さな隕石が彼らの頭に直撃した。


 ゴボンッという明らかにヤバい音が鳴り響いた後、たった数秒で、俺の周りには合計三つの死体が出来てしまった…。


「…殺してはないわよ!?」



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