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セカンドファイア  作者: ぐれこりん。
18/85

第17話 全力疾走

花丸

「はぁ、はぁ、はぁ、…お、おい!山茶花さん!」


花丸は苛烈な追跡を行う桃から逃亡中である。


山茶花

『はい。なんでしょうか』


花丸

「あいつ、も、桃はでっかくなれるが、僕は何かしら力があるのか…!?」


山茶花

『どうでしょう。あるかもしれませんし、無いかもしれません。事前にお伝えした【光助手がスコープになることによって不利になる恐れもあることをご理解頂きたい。】と言った部分を覚えてらっしゃいますね?花丸教授は現在光助手の魂を使ってダイブしております。故に光助手の【魂の性質上適した能力】が精神世界に発現する事になります』


花丸

「あ、あ?なんだそりゃ!?なんでもいいから桃と戦える力があるかどうか試してみてぇ!どうすればいい!?」


山茶花

『それがですね。個人個人がどうやって能力を発現させているのか、まだ不明瞭なのです』


花丸

「分からねぇってことか!?チッ!もしかして桃の野郎は事前に精神世界へ行って何が出来るか調査済みなのかよ!?」


山茶花

『はい…。その通りです。でもですよ?誤解しないで頂きたいのですが、彼が他の被験者を襲うとは全く予想出来ませんでした』


花丸

「そりゃあ後ろめたいやつは他人に自分の腹の中を見せやしねぇよ!あんたはいいのかよ!?アカシックレコードをあいつに発見されれば良いように利用されるかもしれねぇぞ!?」


山茶花

『彼がもし見つけたとして、どのように利用しようとそれは私達には障りの無い事なのです。それにアカシックレコード自体が独占出来るものかどうかも分かってはいませんし。【最も、精神世界から帰還する為にはロープを利用しなければ普通に戻ることは決して出来ませんが】』


花丸は山茶花の意図を理解した。【彼等は被験者にアカシックレコードを発見させることが出来ればそれで目的達成なのである。】


花丸

「あ、ああそうかよ!誰が見つけようと同じってわけか!アンタらにはこれ以上期待しないようにするぜ!」


山茶花

『うーん。なんだか私達が手段を選ばない団体だと思われているようで心外です…。お互いの解釈にズレがあるようですが、当人がどのような考えに至るかは当人の自由。私達は花丸教授のことも桃氏のことも大切です。倉柿教授に関しましては事前に危険性を伝えた上で先行ダイブを決行して頂きました。あのような結果になったのも倉柿教授が自ら選択したこと。それ以上でも以下でもないのです。花丸教授、今すぐロープをお出しして帰還させることも可能です。再度ホストをダイブさせるにはインターバルに何時間か必要ですがね。何か私達に協力出来ることがあるならばまた連絡ください。それでは』


花丸

「くっ、もう誰を信用していいのかわからねぇぜ…」


花丸は長い廊下にたどり着く。


花丸

「これはまずいな…」


桃は後ろからしっかり追ってきている。


花丸

「あいつより早く駆け抜けなきゃ行けねぇ…。直線は避けたかったが…仕方ねぇ!」


花丸は全速力でダッシュする。


桃も長い廊下に到達した。


「花丸先生。逃げてばっかじゃすぐ追いつかれちまうよ?みてくれ。こんな事も出来るんだー」


桃は二ィッと笑みを浮かべると【足が長くなった。】


花丸

「局部をでかくする事も出来るのか!?」


桃は【凄まじい速度】で花丸を追いかける。花丸は直ぐに追いつかれ襟を掴まれる。【桃は口をホラーチックなモンスターのように巨大化させた。】


「つ〜か〜ま〜え〜た〜!!」


花丸

「てめぇはこれでも食ってろ!!」


花丸は光の持っていたチカン撃退用スプレーにボールペンを刺しガス漏れを起こさせ、桃の口に放り込んだ。


「…!!?ぶへぇ!!」


桃の口にモロにチカン撃退用スプレーが入ってしまい口内の薄い粘膜をトウガラシ成分の激しい痛みが襲う。


「ぶへぇ!!ごほぉ!!ぶ、ぶ、おげ…!」


花丸

「だははは!バカがよ!そのまま悶え苦しんでやがれ!」


桃は膝を付き激しく咳き込んだ。目から涙。鼻からは鼻水が大量に出続けている。追いかける所ではない。


花丸

「はぁ、はぁ、…ふぅ。光くんの道具が精神世界にあるとはな。もしかしたら光くんができることとか持ってるものとかが使えるのかもしれねぇ。これはいい情報を手に入れたぞ…!」


花丸はポッケから携帯を取り出す。アプリのナビに【第二層 行き方】と入力する。


花丸

「お、お!?出たぞ!?これは…駅か…!?」


どうやら地下鉄のホームに入れば第二層へ行けるようだ。


花丸

「あんな化け物がいる第一層からさっさと逃げ出さなきゃ命がいくつあっても足りねぇ!階段はやつの後ろだ…。エレベーターへ行こう」


花丸はエレベーターを探し下降ボタンを連打した。


花丸

「早く早く!ヤツが、ヤツが来ちまう!」


チーン。エレベーターが到着し、ドアが開く。すると中に人が何人か入っていた。


花丸

「だ、誰だ!?被験者か!?」


スーツを着た人物

「被験者…?いいえ?違います。ここの会社員です」


花丸

「は、はあ?あ、いや。アンタら幽霊か…」


スーツを着た人物

「幽霊?」


花丸

「自覚が無いのか。まぁいい。と、とりあえず入らせてくれ」


幽霊達は首を傾げ花丸の入れるスペースをあければ花丸はぐいっと押し入る。一階のボタンを連打すればエレベーターは下降していく。


花丸

「ふぅ…。おたくら仕事帰りか?」


スーツを着た人物

「違いますよ?上で事故があったんです」


花丸

「…事故?なんの事故だ?」


スーツを着た人物

「なんでも上の階が欠陥工事のせいで床が抜けちゃったそうなんです。危ないから避難してくれって言われたので…」


花丸

「おいおいマジか…!?なんでエレベーターを使ってるんだよ!?危ないじゃねぇか!階段を使わなきゃ!」


スーツを着た人物

「え、それはあなただってそうじゃないですか。途中の階段は落盤で落ちてしまったんです。だからエレベーターを…」


ブウン…。エレベーターが突然停止する。


花丸

「ま、まさか…」


突然スーツを着た会社員の頭から血が流れ出した。


スーツを着た人物

「…あ、そうだった…。エレベーターの上からコンクリートの塊が大量に落ちてきて…【エレベーターは落下して僕は死んだんだ】」


花丸

「はぁ!?こ、これ落ちちまうのか!?」


突如エレベーターの天井の脱出口が開け放たれる。幽霊達は呆けた顔で天井を見上げている。


「ペッ!花丸先生…よくもやってくれたな…。口内環境はチョー最低だよ」


花丸

「お、おい。桃、上見てみろ」


「くっせぇ嘘付きやがって。騙されるかよ。これ以上逃げられる訳には行かねぇ。大人しく」


ドゴン。桃の頭に大きなコンクリートが落下した。


「ぐはっ!?な、なんだってんだ!?」


桃は体を巨大化させる。ドゴンドゴンと上からコンクリートが落下し続ける。エレベーターは安全装置を作動させながらどんどん下の階へ落ちていく。


「ぐ、うぐ…!ぐぉぉぉぉっ!!」


花丸

「なんてラッキーだ…!!畜生!畜生!全く感謝するぜ!!」


花丸は歓喜に打ち震える。エレベーターの天井に桃が乗っているのでエレベーター自体に衝撃が伝わらなかったためコンクリートが貫通して来ることはなくそのまま1階までたどり着く。花丸は急いで扉をこじ開ける。


花丸

「ぐ、うぐー!!開きやがれー!!」


じわじわと扉が空いていく。スーツを着た人物達は呆然と天井を見続けている。


「ま、ま、待てっ!!」


花丸

「待つかよっ!!そこでくたばりやがれ〜っ!」


花丸は扉を1人分開けた後スっと出ていく。すると桃は重さに耐えられなかったのか前のめりに倒れてしまう。ギリギリのところで天井は破れエレベーターはぺしゃんこに潰れてしまった。


花丸

「はは、はははは、やったぜチキショー!!」


花丸は両膝をつき両手を上げて歓喜の声を上げた。何とか桃から逃げる事が出来たようだ。

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