1-4 ファーストコンタクト
モニター越しに見えたのは人だった。とりあえずこの星の住民も二足歩行で地球人と基本的に同じ外見をしている。違うのは肌の色。赤褐色の地球の黒人より少し明るく火照ったような肌の色。そして・・・尖った耳。
「ダークエルフ・・・だな。」
金属製の胸当てと槍、この星の兵士だろうか。金属製の装備の面積が狭いのは動きやすさ優先なのだろうか。兵士の中で指示を出す女性がいる。というか女性だよなあの胸の膨らみとスタイルは。そしてその女性の後ろに1人だけ鎧をまとっていない者がいる。
煌びやかな銀色の首飾り。服も滑らかで艶やかで他の兵士とは様子が違った。おそらく彼らの指揮官か。
さて・・・。口元を見る限り言語能力はありそう。しかし、地球の言語を話せる可能性はゼロだろう。意思疎通はそうすれば取れるのだろう。というか意思疎通可能なのだろうか。まずは・・・自身の身を守りつつだ。この船の構造を考えれば取るべき選択肢は。
安藤はハッチを開く。その動きを見てダークエルフ(仮)たちが驚いている。見るからに警戒する彼女達。ハッチは二重になっている。第1ハッチと第2ハッチの間は洗浄ルームになっている。そこまで引き入れたい。いきなり外に出るのは危険すぎる。交渉の為には中に入ってきて欲しい。
暫く様子を伺っていると、身なりの良い女性が皆の制止を振り切って中に入る。度胸があり、物怖じしない性格はその表情からも見て取れる。
この洗浄ルームに呼び寄せたのは理由がある。ここならば安全に話ができるからだ。洗浄ルームには中に繋がる小窓があり、そこは開閉可能。人が通れるようなサイズではないが交渉するには十分だ。
少し緊張しながら小窓の前に立つ。向こうから槍が向けられ、何か叫んでいる。やはり言語は不明だ。一応槍は通らないはずだが、流石にビビる。だが、その先頭の身なりの良い女性が槍を降ろされる。安藤は身振り手振りでこの船で空からやってきたことを伝える。そして敵意が無いことも。
時間は掛かったが、どうやら伝わったようだ。あちらも身振りで攻撃しないことを伝えているようで、兵士たちも武装を解いた。そして、安藤をどこかに連れていきたいようだった。連れていかれて牢屋送りといったことになるのは嫌だが、もし彼らの都市にいけるのならば価値はある。安藤としてもすでに覚悟を決めている。
ここで・・・この星で生きていくということを。