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異星で始める魔導工学  作者: ウロクX
10/11

1-6 言語

さて、ここからはジェスチャーだ。なんせ言葉から読み取れたのは頻繁に出てきたアリュセナの名と、幾つかの単語程度。とても会話はできない。


まずは一礼。印象は大事だからな。


それから身振り手振りで話す。言葉を発するのはこちらも言語体系があり、別な文明である証明をする為。


まずは敵対の意思がないこと。そして空から飛来した人間で、帰る手段がないこと。奇跡的にエウロスを修理出来たとして、宇宙に上がる方法を確立したとして、地球に戻る手段は皆無だろう。まぁ冷凍人間だった安藤の知っている知人は存在しないだろう。


次に伝えるべきことは、安藤が言葉を学びたいということ。文献などを貸し与えてくれれば何とか自力で物にするっと伝えたかった。どこまで伝わったか微妙だが、同意は貰えた。


そして、会合はお開きになり、安藤は迎賓室のような場所に通された。どうやら客人扱いのようだ。ついでにお付が1人ついた。うさ耳少女。いろいろ安藤の持ち物に興味津々なようで、どうやら自分から世話役を志願したようだ。


まずは敢えて難しそうな文献から文法を学ぶ。硬い文章の方が文法がしっかりしていると考えたからだ。文法は英語圏の物に近いようだった。やはり日本語の文章が一番マイナーな手法なんだろう。ただ、日本語との共通点として、敬語や継承を語尾につけるようだ。


次の日、エウロスが運ばれてきた。あのまま半分水に浸かった状態で放置されるよりはいい。ロックは解除出来ていないようで、中を見たいと伝えてきた。あの見目麗しい責任者、もといこの国の女王も同席しているようだ。


「アリュセナ陛下。いいですよ。ただし、私も同行しますし、勝手に触らないで頂けたら。」


皆が驚いている。


「何か言葉を間違っていますか?まだ学び始めたばかりなので御容赦を。」

「まさか・・・1日でここまで!?」

「私の星のある言語に似ていたもので。」


教育担当のうさ耳の少女、リリルリカは物分りが良すぎて面白くないと言っていたが。ともかく最初の障害、言語の問題はなんとかなりそうだ。


「それでは中をご案内しましょう。くれぐれも不用意に中を触らないでください。見られて困るものは無いですが、かなりガタが来ているので壊れやすいんです。足元にもお気をつけください。」


機体の中を案内する。入口となる洗浄ルームを通ると、入って真っ直ぐに短い通路がある。入って右手側が貨物区、並んで居住区、トイレやシャワーなどの生活区と続く。貨物区は一瞥だけでスルー。


「居住区は一応3人まで休息できるようになっています。食堂も兼ねていますので、少し手狭ですが。」

「確かに狭いが、だがたかが寝具の加工技術は・・・。」

「あぁ。それにこの机や椅子も、何の材質で作られているのか。。。」


どうやら有機化合物材料はこの星では使われていないようだ。利用しているのは金属や木材、布くらいなのだろう。次に見せた生活区のシャワーやトイレを見せる。リリルリカは特に驚いている。彼女はこの星の技術者のようだ。今日も1番積極的に見て回っている。


「この機構もさることながら、ここまで澄んだ水を水洗用使うとは・・・。」


どうやらこの国は浄水、下水施設に難があるようだ。こちらの知識や技術を活かせる部分があるかもしれない。次に左手側を案内する。


「こちらは動力制御区です。この船の動力はここで管理しています。重要な設備なので不用意に触れないようにお願いします。」


左手側はコールドスリープしていた医療区、トイレやシャワーなどの生活区、動力制御区が続く。その通路の正面が操縦区だ。

コールドスリープの設備やトイレやシャワーの説明をするが、もはや口が空いたままで反応がない。動力制御区に関して興味深く見てはいるが、意味不明すぎて首を傾げている。最後に操縦区。


「ここがこの機体、エウロスの操縦区です。ただ、今はもろもろ故障中で、ほとんどうごかせませんが。」

「ここで最後か?」

「はい、殿下。ご覧の通り、この船は殿下達の星とは異なる技術で作られております。ただ、損傷が酷く修復は不可能、私も元の星に帰る手段は無いものの考えております。そこで、私はこの星、この国での定住を希望します。」

「ふむ。最後にもう1つ。このような機械を製造することは貴殿に可能か?」

「私は技術士です。設備の無いこの環境で、この機械の再現は厳しいですが、相応の技術提供は可能です。」

「あい分かった。処遇は追って連絡する。」


陛下たちは引き上げていく。リリルリカはもう少し見たかったようで残念そうだ。とにかく明日はどうにか陛下たちに取り入られるようにしなくしなくては。僕はもう地球には戻れないのだから。

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