36話 港町サファイアへ出発進行!
場所は移り俺達は、 今検問所の前におり、 そこで馬車の引き取り手続きなどを行っている。
まあしているのは主にラピスさんなのだがな。
また葵とハクとエルザはラピスさん一人だと色々大変だということで、 一緒について行ってしまったので今この場にいるのは俺とルビーと千鶴の三人だけである。
「そう言えばルビー。 一つ聞きたいことがあるんだがいいか?」
「私のスリーサイズは上から……」
「そんなことが聞きたいんじゃない!」
「え~それじゃあ私が俊さんのどういったところが好きかどうかですか?」
「それも違うわ!」
まあそれは少し気になるけど今聞きたいことではない!
「俺が聞きたいのは次の目的地がなぜ港町サファイアなのかという理由だよ!」
「ああ、 それは至って単純な理由ですよ。 最近暑くなってきたことすし、 海に入りたくなったからからです」
「そんな理由かよ!」
もっと特別な理由があるかと思った俺の期待を返せ!
ん? でも待てよ。 海に入るということは水着の女子が沢山いるのは当然の事だ。
それすなわちナンパをするには絶好の機会じゃないか!
しかもこの世界の女性は美人が多い。
ふふふ、 そう考えると最高の目的地じゃないか!
「俊今何か変なこと考えているでしょう?」
「べ、 別に考えていないぞ?」
「もしかして私の水着の姿を見て興奮してたんですか? もう俊さんったら!」
「そんなわけないだろ!」
「そうよ! 俊が興奮するのは私の水着姿だけなんだから!」
「いや。 そんなわけないだろBBA」
「うふふ……俊何か言ったかしら?」
「な、 何も言ってない! だからその右手に持っている包丁と左手に持っているスタンガンをしまってくれ!」
「皆様お待たせしました!」
そう言いながらクリスはこちらに走って向かってきた。
「ナイスタイミングだクリス!」
「はい?」
「チッ!」
うわ~千鶴の奴露骨に舌打ちしやがったよ……
だが次の瞬間俺はクリスの着ている服を見て固まってしまった。
「あのシュン様どうかなさいましたか?」
「なあルビー。 一つ質問いいかな? この世界にオークっているか?」
「いますね」
「もひとついいかな? この世界のオークって性欲強いよな?」
「君のような勘のいいガキは嫌いだよ」
俺がなぜこのようなことをルビーにきいたかというとクリスの着ている服が同人誌でオークにあれされる姫騎士のデザインと瓜二つだったからだ。
「あの~先ほどからシュン様とルビー様が何か芝居みたいなことをやっているようなのですかが、 一体どうなされたのですか?」
「それは、 あんたの服が……」
「いいかクリス! お前は絶対にオークが出たら近づくな!」
「なんでですか! クリスこう見えても剣の腕には自信があるんですよ! オーク何て私の剣にかかれば一撃で……」
「それ以上フラグを立ててはいけない!」
「フラグ?」
「と、 ともかくクリスは絶対にオークに近づくな! い・い・な!」
「シュン様がそこまで言うならわかりました……」
クリスは口では納得したと言っているがやはり不満そうな顔をしていた。
だがこれはお前を守るためなんだ許しておくれ。
「そういえばクリスさっきあの愚王に何を言われたんだ?」
俺がそう尋ねるとクリスの顔は真っ赤になってしまった。
「ひ、 秘密です! 特にシュン様にだけは絶対に秘密です!」
あいつ本当に何を言ったんだ?
なんかそう言われると余計気になる。
「へぇシュンには言えないような事なんだ……」
「なら私達には教えてくださいよ~」
「絶対に嫌です!」
「まあまあそう言わずに~」
「いいからさっさと吐きなさい!」
「シュ、 シュン様助けてください!」
クリスはあの馬鹿二人から逃れるためか俺の後ろに隠れた。
「俊そこをどきなさい!」
「そうですよ! 俊さんだって気になってるですよね! 知りたいと思わないんですか!」
た、 確かに俺も気になってはいる。
だが……
「シュン様はクリスを売るんですか?」
涙目でこんなことを言う女子を売ることは俺には決してできない!
俺はそう覚悟を決めると千鶴の前に立ちはだかった。
「へぇ。 私に立ち向かおうとするなんていい度胸してるじゃない!」
「行くぞ千鶴! 武器の貯蔵は十分か!」
「吠えたわね俊!」
「あの~私もいるんですが……」
「ウォォォォォォ!」
俺はそう叫びながら千鶴に飛びかかろうとしたのだが途中で俺は静止した。
「皆さんお待たせしました!」
ラピスさんたちの手続きが終わったからだ。
千鶴もこれをきき、 今はオレを倒すよりも早くここから出発する方を優先したため、 俺と千鶴は戦わずにすんだ。
正直さっきはカッコつけていたが俺には千鶴に勝てるビジョンが見えなかったので非常に助かった。
「さてとこれでやっと出発できるわけだな」
「いいえ。 まだ一つやることが残っています」
「そうね」
「ああ、 そうだな」
「何かまだやることありましたか?」
「私には全然思い当たらないのだ」
「私もです……」
「えっとクリスもわからないので、 あと何をすればいいのか教えてくださいませんか?」
「しょうがないですね。 私達がやらなくちゃいけないことそれは……」
「「「「それは」」」」
「ズバリ! 俊さんの隣争奪戦です!」
やっぱりか。 なんかこの三人だけが理解できているという時点で薄々そんな気はしてたんだよな。
「えっとそれは一体どういうことで……」
「名前の通りで、 馬車の中で誰が俊の隣に座るか決める勝負をするだけよ」
「ふふふ。 今度こそ勝たせていただきます!」
「次も私が勝つ!」
「私だって負けないわよ! それで参加者は他にいないの?」
いるわけないだろ。
「そう言えばラピスさん。 サファイアまでって一体どれくらいかかるんですか?」
「そうですね。 約一か月ほどですね」
「結構遠いんですね」
「一応この大陸の一番端にある街ですから仕方ないんですよ」
「この大陸?」
「あ、 シュン様は知らないのも当然ですよね。 実はこの世界は、 主に三つの大陸で構成されているんですよ」
「そうなんですか。 三つの大陸にはなにか違いがあるんですか?」
「そうですね。 簡単に説明すると他の大陸では支配している種族が違うんですよ」
「種族?」
「そうです。 今私達がいる大陸は人間が支配している大陸です。 他二つの国は獣人とエルフが支配している国ですね」
エルフや獣人がいるのか! なんかやっと異世界に来たと感じられることを聞いた気がする。
俺がそんなことをラピスさんに聞いている間に俺の隣争奪戦は終わっていた。
結果はと言うと……
「や、 やりました!」
「ふふふ、 リベンジ。 果たしてやりましたよ!」
「こ、 この私が負けるなんて……」
「クッソ。 完敗だ……」
どうやら勝負に勝ったのは、 ルビーといつの間にか参戦していたクリスのようだ。
「さあ俊さん早く乗りましょう!」
「言い忘れてたけど今回俺はラピスさんの隣に座るつもりだから」
俺がそう言うとクリスとルビーは固まった。
「な、 なんでラピス様の隣に座るおつもりなのか教えてくださいませんか?」
「いつまでもラピスさんだけに馬車の操作をお願いするのは悪いだろ? だからこの際俺も馬車の操作の仕方を覚えようと思ったわけだよ」
「そ、 そんな……」
「折角勝ちましたのに……」
「俊がこう言っているんだから仕方ないわよね!」
「そ、 そうだな。 仕方ないな!」
このふたり自分が負けたからってなかなか酷い仕打ちしやがる。
「私は前と同じでシュンの上に座るのだ!」
「落ちても知らないぞ?」
「しっかり俊に抱き着くから大丈夫なのだ!」
まあエルザがこういってるならいいか。
「さてやることも終わったことだし、 ほら全員さっさと乗れ!」
俺はそう急かし、 出発の準備を着々と進めた。
「さてとそれじゃあラピスさん。 馬車の操作の仕方とか走行中かいろいろ教えて貰えますか?」
「任せてください!」
ラピスさんがこう言ったあと、 俺達も馬車の御者が座る部分へと座り、 馬を走らせ始めた。




