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1話 俊、 異世界に立つ!

俺の名前は、 長谷川俊という。

顔は、 中の中ぐらいで特に特技などもなく、 親との仲もいい高校一年だ。

ただし、 俺は運がとてつもなく悪い。

そのひどさを言うならば、 学校の購買でパンを買って外で食べようとしたら必ずカラスにそのパンを奪われるし、 普通に道を歩いていたら、 落ちていたバナナの皮を踏み滑ってそのまま頭に犬の糞がつくことなど日常茶飯事である。

そんな俺は、 自分の人生をクソだと思ってきた。

そして、 今俺は、 かなり困惑している。

それは、 なぜかというと俺は今俗にいう異世界という場所にいるからだ。

異世界にいることは、 文句どころかむしろ嬉しいレベルだ。

しかし、 一つ絶対に許せない不満があった。


「ははははは。 本当にどうしてこうなった」

「俊。 そんなに落ち込まないの」


そう俺に声をかけてきたのは、 俺の幼馴染の紅千鶴だ。

彼女の見た目は、 俺とは大きく違いとても美人で、 俺のクラスでは、 まるでアイドルのように扱われている。

さて、 そろそろ俺たちが、 なぜこんな異世界と呼ばれる場所にいるのか話そうと思う。

そして、 俺の不満もすぐにわかることだろう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

俺は、 いつものように一人で学校に行こうとしていた。

なぜ千鶴と一緒に行かないかだって?

前千鶴と一緒に学校に登校したことがあるのだが、 それを周りのクラスメイトの連中が見ていたらしく、 俺は、 授業後校舎裏に呼び出されて、 ぼこぼこにされた。

それ以来俺は、 千鶴と一緒に登校していない。

その日の俺は、 朝道を歩いていたら、 空から鉄柱が落ちてきたこともあり、 朝からとても疲れていた。


そして、 俺は下駄箱から靴を履き替えいつものように自分のクラスへと向かおうとしていた。

だが、 ここで俺にとって予想外のことがおきていたのだ。

なんと俺の下駄箱にラブレターが入っていたのだ!

俺は、 今までラブレターなるものをもらったことはなく完全に浮かれていた。

ラブレター内容はと言うと、 今日の授業後に屋上に来て欲しいといった内容のものだった。

そして授業中も一体どんな子が、 俺にラブレターをくれたのかとても気になり授業に全くに集中できなかった。

だが、 俺には好きな人がいた。

それは、 幼馴染の千鶴ではなく、 クラスでもあまり目立たないような女子で眼鏡をかけている吉永さんだ。

なぜ俺が、 その子を好きになったかというと彼女は、 とても努力家なのだ。

その努力の量は、 内のクラスの仲でも多分一番だと言ってもいい。

だが、 彼女はクラスで一位の成績ではない。

それでも彼女は、 めげずにひたむきに努力をしている。

また彼女はクラス委員もしており、 クラス委員の仕事もあるにも関わらずいつも一生懸命努力している姿に俺は、 心奪われた。

ちなみに学年一位の成績をたたきだしているのは、 千鶴である。

そして、 あいつは学年一位であることを毎回俺に報告してくるのだ。

正直かなりうざい。

話を戻そう。

俺は、 どんなにラブレターの相手がどんなに可愛くても吉永さん以外の場合は、 断るつもりだ。

そう俺は、 授業後ラブレターに指定された屋上へと向かった。

行く途中もしかしたらクラスメイトの連中の悪戯かもしれないとも思ったが、 もしこれが本物だったりしたら行かないのは、 大変申し訳ないので俺は、 向かうことにした。

そして俺は、 屋上への扉を開ける前に大きく深呼吸して、 目を瞑りながら開いた。


「遅かったわね俊」


扉を開いた先では、 何処か聞き覚えのある声だった。

その声の主は……


「なんでお前がここにいるんだよ千鶴」

「それは、 私があんたに書いたラブレターの主だからよ」

「なんだお前の悪戯だったのか。 それじゃあ俺帰るわ。 じゃあな」

「なんでそうなるのよ!」

「俺は、 この後家に帰ってからゲームをする予定があるんだ!」

「そんな理由なの!」

「そうだよ。 だから早く要件を言えよ」

「わ、 わかったわよ......」


そう言った後千鶴は、 大きく深呼吸をした。


「私は、 俊のことが好き。 だから私と付き合ってください!」


俺は、 この言葉を聞いた時、 頭が真っ白になった。

そして頭の中で今の状況を冷静に処理し始めた。


「ちょ、 ちょっと! 早く返事言いなさいよ!」


 俺は、 千鶴に急かされ次の言葉を叫んだ。


「これなんてギャルゲーだよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」

「俊落ち着きなさい。 これは、 まぎれもない現実よ」

「悪い。 少し取り乱した......ってそうじゃなくて! お前の告白は、その......冗談じゃないんだよな?」

「お、 女の子と告白を疑うなんて最低よ!」

「悪い。 でもお前は、 俺のどこが好きなんだ? 正直俺は、 いつ幼馴染フラグが立ったのかわからないんだが?」

「全部よ」

「は?」

「だから、 私は俊の全部が好き」

「ぜ、 全部とは?」

「俊の困ったような顔も好きだし、 笑顔も好き。 それに俊の匂いとか体液も全部好き! 俊の血を飲んだ時なんて大変だったんだから!」

「ねぇ! 最初のは、 いいけど後半からおかしいよね! 一体何があったの!」


ヤ、 ヤバイよヤバイよ! おいちゃん鳥肌立ってきたよ!


「そんなことよりも私の告白に対する答えを早く頂戴よ!」


そう言った千鶴の顔は、 酷く不安そうだった。

確かに千鶴は、 美人で、 巨乳で、 頭が良くて、 料理や裁縫類すべてが完璧のまさしく超人と呼ぶにふさわしい奴だ。

そんな千鶴の彼氏になれる男子は、 かなりの幸せ者だろう。


「悪い。 お前とは付き合えない」


だが俺は、 千鶴からの告白を断った。

やはり俺は、 吉永さんのことが好きだ。

それに千鶴のことは、 異性の対象としては、 どうしても見ることができなかった。


「ねぇ。 どうして私の告白を断ったの? 私俊にふさわしい相手になれるよう今までいっぱい努力してきたのよ? 料理も勉強も裁縫も全部俊のふさわしい相手になれるよう頑張ってきたのよ? それなのになんで断るの?」


ん? なんか不穏な雰囲気が.......だが俺はあえて言おう!


「理由としては、 俺には好きな人がいるんだ。 そして、 その相手はお前じゃない。 あとお前のことを異性として見れないのもあるな。 さて話は終わりだ。 俺は帰る。 じゃあな」


むむ? なんだ? 突如私の腹部辺りに猛烈な痛みががががが......


「俊が私のものにならないなら、 殺しちゃえばいいんだ」


あらまあ! 大層狂った目をしていらっしゃる!

そう思いながらも俺は、 ある一つの事実を思い出していた。

その事実とは、 自分がかなりの不幸体質の持ち主であること。

そしてそんな俺を好きだと言ってくれるこいつが普通な人間なはずがないという事だ。


「お、 おい! これ以上近づくな!」

「大丈夫だよ。 私も俊を殺した後に後を追うから。 大丈夫なるべく痛くないように殺してあげるから」

「や、 やめ……」


そのまま俺は、 何度も千鶴に刺され絶命した。


次に目がさめたとき俺は、 真っ白な空間にいた。


「お目覚めですか?」

そう声をかけてくれたのは、 女性だったのだが姿はモザイクがかかっていて確認できなかった。


「すいません。 俺って死んだはずですよね?」

「そうですね。 あなたは、 それは無残に殺されましたよ。 何なら自分が殺されたときの映像見ますか?」

「お、 お願いします」


俺は、 謎の女性にお願いし自分が死ぬ瞬間を見せてもらった。

確かに、 女性の言う通り俺は、 悲惨な状態で死んでいた。

どうやって殺されていたかというと、 まず四肢をすべて切り落とされ、 最後は、 首を切り落とされた。

そして、 千鶴も俺を殺した後に、 自らの首筋に包丁を突き刺し、 死んだ。


「自分の死んだ瞬間を見た感想はどうですか?」

「正直最悪な気分です。 それで俺は、 この後どうなるんですか?」

「あなたは、 この後異世界へと旅立ってもらいます」

「異世界にですか! なぜ異世界俺を?」

「それは、 あまりにも悲惨な殺され方だったので神々の間でもあなたに同情的な意見が多かったんですよ。だからあなたには、 チート能力を与えて異世界へと旅立ってもらおうと思ったわけです。 ちなみに見た目も年齢も変わりません」


やった! チートきた!


「それでステータスってどうやって確認できるんですか?」

「それは、 向こうの世界についてからステータスと言ってください。 そうすれば確認できます」

「わかりました」

「それと最後に一つアドバイスしましょう」

「なんですか?」

「あなたは、 今から転移される場所は、 森の中です。 そしてそこから真直ぐに進むと一つの大きな場所に出ます。 そこをはじめの拠点にするといいでしょう」

「色々ありがとうございます。 最後にあなたの名前を教えてくださいませんか?」

「それは、 いずれわかります。 では、 しばしの別れです」


そう女性が言った瞬間俺は眩い光に包まれた。

そして時間は、 今に戻る。

お分かりだろうか?

そう。

なぜか千鶴までが異世界に一緒にいるのである。

これでは、 異世界に転生させてもらっても全く意味がない。

俺の不幸体質は、 異世界に来ても変わらないようだ。

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