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本屋の隅っ娘  作者: リアル
7/7

[バスケ]

  バスケをする約束をしてから数日経ちついに来た土曜日。

  僕は約束していた時間10分前に待ち合わせ場所に来ていた。

  さすがに13時近くは駅前に人が少ない、まぁ田舎だしそういうものなんだろうけどね。それにしてもやっぱり本上さん居ないな、楽しみにしてたからてっきりもう居るのかと思ったけど。

  僕は持ってきたバスケットボールをボールネットから取りだし、くるくる回して感覚を取り戻していた。


  僕からバスケやってみないかと言ったはいいけど、あの漫画は現実とはちょっと離れたシュートしたりするから期待されてそうで怖い。

  バスケするのも冬に隆一とやって以来だしな。あのときは隆一にボコボコにされて終わったけど。

  でも不思議と悔しいとかは思わなかったな、バスケは楽しければいいよね!

  僕はうんうんと首を縦に揺らす。

 

  「なに頷いてるの?」


  横を見るとやる気満々の格好をしている本上さんがいた。


  「いや、バスケは楽しければ勝ちだなと思って...」


  「バスケって楽しむ以外になんかあるの?」


  至極真っ当なことを言われたような気がする。

  でも上下バスケ用の服って気合い入りすぎじゃないですか?


  「ていうか本上さん来るの早いね、まだ5分前なのに」


  「優之介の方が早かったし」


  それは男としてのプライドというか、女の子を待たせるのはいけないなと思っただけで。

  決して僕も内心バスケしたくてたまらなかったわけではなく。


  「早起きしちゃったからね!あはは」


  誤魔化すの下手すぎはしないか僕。

  それでも本上さんは「なるほどね」と一言いい僕の持っているボールに目線がいく。


  「優之介って指の上でくるくる出来るんだね」


  いまだにくるくる回転させてたボールの動きを止める。

 

  「まぁ昔はよくボール遊びとかしてたし、隆一に教えてもらって出来るようになったんだよ!」


  「私も出来るようになりたい」


  「利き腕の人差し指を立ててみて」


  そう言うと本上さんが右手の人差し指を立てる。そこに僕はボールを抑えながらも落ちないようにボールを回転させ始める。


  「そのまま落ちないようにバランスを保って!」


  僕は本上さんの険しい顔を見ながらも回転を早めて手を離す。


  「で、出来てる?」


  険しい顔で言われて僕も険しい顔になり、


  「で、出来てるよ!」


  と言った。

  まさか一発で出来るとは、僕は何回失敗したことか。

  いや、落ち込むな僕!バランス感覚で劣っただけじゃないか。

  本上さんは一発で出来て満足そうにボールを両手で持つ。


  「一発で出来るって凄くない!?」


  めっちゃ目が輝いている。まっすぐこっちを見ないで!


  「確かに凄いね!」


  悔しさ混じりで本上さんを褒める。

  褒められてまたもや満足そうに胸を張る。そんなにないからって強調しなくてm...。

  僕はなんて最低なことを考えているんだ。


  「この調子でバスケもすぐに上手くなっちゃうかもね」


  その天狗の鼻を折られるほどバスケは厳しく難しいものなんだよ?


  「まずは基礎が出来ればいいよ!」


  そう僕が言うとゴールのある場所へと本上さんと歩き始めた。



  運が良いと言うべきか休日なのに誰もいない。

 

  「公園の近くだし子供が居てもいいのに誰も居ないね」


  「誰もいない方が私はいい」


  早速コートの端に荷物を置いてボールを取り出す。

  僕は鈍ってないかシュートをしてみる。すると予想通り力加減がわからない。

  リングに当たりはするものの、ボードに当たってからだからもっとスパッと決めたい。

 

  「鈍ってるの?」


  それを見ていた本上さんが聞いてきた。


  「鈍ってるね。僕はそこまで上手くはないけど、この距離から外すのはちょっとショックかな」


  頭をポリポリとかきながら笑顔をつくる。

  それにしてもこの距離で外すか。隆一に見られたらなに言われるか。

 

  「今の優之介になら勝てちゃう?」


  可愛く首を傾げるが、目はキラキラとしていてやる気満々だった。

  本上さんは運動神経いいのかどうかわからない。もしかしたら本当に...いやいや考えすぎだね。


  「勝てるかどうかは分からないけど!まずはシュートの仕方から教えるね」


  「うん!」


  シュートが出来なきゃ始まんないからね。教えながら感覚戻そう。


  「僕は男だから片手は添えて片手でシュートをするんだけど、女の子の場合は両手の方がいいね!まぁ女の子でも片手でシュートを決めちゃう人もいるけどね!」


  「じゃあ私は両手かな、力ないし...」


  「まずは適当にシュートしてみようか!」


  分かったと言って本上さんはボールをダムダムとついてから両手でシュートを放つ。

  するとバサッと良い音と共にシュートが決まる。


  「入った!」


  両手を上げて喜ぶ本上さんがこっちを向いてきて僕は笑顔で答える。

 

  「僕も負けてらんないね!」


  シュートを一発で決めて俄然やる気の僕。さっそく練習することにした。



  あれからちょくちょく休憩を取りながらも数時間が経っていた。

  本上さんにドリブルも教えて基礎はもう大丈夫。

 

  「日が落ちる頃だしそろそろ帰る?」


  正直疲れた僕はそう本上さんに提案する。

 

  「うーん...じゃあ!最後に対決しよ!」


  「ふえ!?体力あるね」


  両膝に手を置きながらも笑ながらyesと答える。


  「ハンデとして私は3本決めたら勝ちで優之介は5本ね!」


  「わかった!先攻撃でいいよ!」


  本上さんが攻撃のポジションに着くと僕はボールを、ワンバウンドさして本上さんにパスする。

  これは1on1の始まりの合図で受け取った本上さんはドリブルを始める。

  僕は、これは負けられないとガードをの体制をして右に抜けようとしたところに合わせて、隙をつきボールを奪い取る。


  「優之介は容赦ないね、でもそのまま全力でやって」


  手加減されるのが嫌いなのかそう言ってきて攻撃でも手は抜かないと決意する。

 

  次はそれぞれ逆のポジションで本上さんが僕にボールを渡す。

  両手にボールを納めてシュートの体制をとると、本上さんは近くに寄って阻止しようとする。

  それを見て僕はドリブルをして本上さんの横を抜いていき、レイアップを決める。


  「優之介バスケ上手いじゃん!」


  今のをやられて思ったのかそう言ってきてくれて照れ臭くなる。


  「隆一に鍛えられてきたからね」


  照れながらも隆一のおかげとここに居ない人物の好感度を上げる。

 

  「次!」


 


  それからは本上さんの大逆転とはならず、僕が5本取ってあっさりと終わってしまい、本上さんが怒ってないか顔を見やる。

  でもそんなことはなく、悔しそうだけど腰を折って笑顔を見せていた。


  「あっさり負けちゃった」


  「でも楽しかったと」


  「そういうこと!」


  本上さんの気持ちを先に言ってタオルで汗を拭きながら、二人して近くのベンチに座る。

  すっかり空が橙色に染まりつつある。今日はいつもより動いたし明日は筋肉痛かな。

 

  「明日は筋肉痛だね」


  「自分の気持ちを言葉にして言われるとびっくりするね。でもやっぱり筋肉痛のこと考えるよね」


  ふくらはぎと太ももをマッサージしてるのを見てた本上さんも自分の足をマッサージし始める。


  「私ねこうして誰かと楽しく遊ぶのって数年ぶりなんだよね、今日は凄く楽しかった」


  急にそんなことを言われて本上さんを見ると前に見た笑顔で僕の方を向いていた。


  「私昔っから友達作るのが苦手でおまけに本好きだし、本好きの友達をつくろうとしてもどうしてもその輪に入れなかった」


  どこか僕と似たところがあったりして黙ってしまう。


  「でもバイトを始めて優しい人に恵まれたけど、昔からの癖で隅っこが心地よくてバイト先でもそうしちゃうんだよね」


  本上さんは沈みつつある太陽を見ながらも語る。

  それを僕は足のマッサージをやめて聞くことに専念する。


  「そんな私によく話しかけてくれて一緒に帰ってくれたりする優之介が好きだよ」


  「なっ!?え?」


  いきなりそんなこと言われて驚かない人はいないだろう。僕は戸惑っていると、


  「友達としてってこと!」


  と本上さんがつけたした。


  「紛らわしいよ!びっくりした...」


  「こっちが恥ずかしくなっちゃうじゃん!」


  いや、会話の流れからしてまじの告白って思っちゃうでしょ。

 

  「全然優之介のこと知らないのに告白なんてしないよ」


  え?じゃあ僕が洗いざらい全てを語れば告白してくれるんですか?駄目だ僕の今までの人生を語るとものの30分で終わってしまう。

  それにやっと友達として見てくれてることに喜んでしまう自分がいる。


  「そろそろ帰ろ!」


  本上さんも照れているのか日に当てられてなのか頬が赤くなっている。

 

  「そ、そうだね!」


 


  夏とはいえ汗をかいた後は体が冷えるので僕達は上着を着て帰ることに。


  帰ってる時は疲れているのかあまり会話はない、でも不思議と緊張感や会話しないとっていう気持ちも湧かない。

  いつもより重い足取りでやっと本上さんの家に着く。

 

  「今日はありがとう。凄く楽しかった!」


  僕が言おうとしたことを言われてしまった。


  「こっちこそ楽しかったよ!またバスケじゃなくてもいいから遊びに行こう」


  友達なんだから異性でもこういうこと言っても大丈夫だよね?

 

  「うん!またね!」


  手を振って本上さんは階段を上がりドアの前で少し止まったが、ドアを開けて中に入っていった。

  あ、メールアドレス聞いておけば良かった。でも友達だからといっていきなりメールアドレスとか聞いたら引かれないだろうか。

  でもなんか本上さんは友達って感じがしないんだよね、悪い意味ではなくて友達としてメアドを知りたいわけではなく、なんか言葉にしずらいけど知りたいという気持ちがある。

 

  少し悩んでから聞きに行くことにした。階段を上がって中に入っていったドアの前に立つ。

  なんか変に緊張したきた。いやいや変なことを聞くわけではないのだし緊張しなくても大丈夫だろう。

  僕はインターホンを押そうとしたとき、ドアのポストに紙がちょこんと出ていたので目がいってしまった。

  見える文字だけを見てみると、


  (夢子へ)


  とだけ見えた。これは多分親からなのだろうと思った僕はこの手紙を取らなかった本上さんに疑問を持つと共に家族との関係に口出しは出来ないと見なかったことにし、そのまま帰ることにした。

またまた遅くなってしまいましたが、まだまだ書いていきますので見てくださってる方々今後とも宜しくお願いします。

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