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本屋の隅っ娘  作者: リアル
3/7

[進展?]

  本上さんと帰った翌日。僕の朝は早く7時ぴったりに目を覚ますと、まずやることは朝食作り。

  冷蔵庫に卵があるから目玉焼きと、ウィンナーでいいか。

  昨日寝たのが1時30分くらいと30分睡眠時間が少ないと考えるとまた眠気がくる。

  朝食食べ、皿を洗い歯を磨く。一連の朝の作業をこなした僕は大学へと向かうことにする。


  大学へ向かう途中、本上さんが住んでいるアパートに目がいく。知ってしまったからしょうがない。

  けど本上さんが出てくるという漫画的展開にはならず、すんなりと大学へ着いてしまう。

  原付だからと言って暑い夏は誤魔化せなく汗が出る。

 

  「優!おは」


  原付を止めると後ろから唯一の友達が声をかけてくれる。他にそんな友達は居ないのが悲しい。


  「おはよう!」


  元気な素振りで挨拶をする。内心暑くて今すぐにでも帰りたい。でもそうすれば単位ががががが。

  大学生なら何回かあるこの心情。

 

  「元気な挨拶でも顔が疲れてるぞ?」


  「僕は、顔で疲れてるかとか判断出来る友達が居て幸せだよ」


  「あ、幸せそうな顔した」


  しまったついつい顔ででてしまう。だって嬉しいじゃないか引き立て役とか、うわべだけの友達じゃないのは。

  いつもの挨拶も僕にとっては嬉しいこと。大学1年だからまだ友達が居ないとかではなく、中学から孤立してました。

  別に中二病にかかったわけでもなく、ただ暇なときは読書をしていたから近よりずらかったのだろう。

  嬉しい朝の挨拶をして、僕と隆一の科目が違うため別々の教室へと向かう。

 

 

  説明出来ないほど退屈な大学の授業が終わり、やっと帰りの時。

  僕の大学生活なんてこんなものなんだ。強いて言えば数学教師の滑舌が悪すぎて何言ってるのか解らない。「え?なんて?」って聞き直しそうになる。あとボッチ飯くらい。

  今日も今日とてバイトなのでバイト先へ向かうことにする。

 

  原付で走りながら、ふと考えることがある。

  僕のバイト時間は16時から22時以降で、はたしてこれでバイトリーダーは務まるのだろうか。

  店長が勝手に決めちゃったことだし口出しすればなんとかなるだろうけど、店長のことだから泣くと思う。

  でも今の僕にはバイトが至福の時なんだ、しっかりやらないと。


  大学から直でバイト先へこれが毎日とか、僕の家にいる時間は寝てるとき以外だと少ないような気がする。

  友達も居ないから家で遊ぶこともできないし。コミュニケーション力が足りない自分を呪おう。


  本屋の中に入ると今流行りの音楽が流れていた。僕はこのバンドが好きでCDまで買って聴くくらいだ。

  好きな曲が流れていて嬉しいなか僕は休憩室へと入ると、なんといつもは店に居ないで有名な店長がいた。


  「て、店長こんにちは」


  「優くんじゃないか!久しぶりだねいつぶりなんだろう。覚えてないからいいや!それより早く着替えて仕事をしたまえ!」


  そんな幼児体型で言われたくない。なんか絡みずらいんだよな。


  「失礼ですが...お歳はいくつですか?」


  聞く機会がないから今聞くことに。


  「私はピチピチの23歳だ!」


  「ピチピチ過ぎますね」


  「そうだろう!でもなぜかお酒を買おうとすると年齢確認されるのがたまに癪だ」


  自分の体型と向き合ってください。なんて言ったら泣くからなきっと。


  「きっとお若く見えるからですかね?」


  「がーはっは!そうだろう!」


  満足そうだしそのままでいいか。着替えよう。

  白いワイシャツにエプロン、それに黒いズボンで終わりだ。

  女性の方はスカートだが、女性がズボンも悪くはないよね。


  休憩室から出ると好きな曲が終わっていてちょっとショックだ。

  今日は隆一が居ないため僕が本棚整理をしなければ。

 

  「佐藤さん。おはようございます」


  レジに立っている原さんが僕に挨拶をしてくる。


  「原さんおはよう」


  軽い挨拶をして仕事にとりかかろう。


  「佐藤さん!」


  呼び止められてしまった。後ろを向き原さんを見る。


  「なに?」


  珍しいな原さんから話をしてくるなんて。


  「夢ちゃんまだ来てないみたいなの。何か知らない?」


  「本上さん?」


  原さんは夢ちゃんと呼ぶのか。

  原さんに言われて見てみると本当に居ない。曲に夢中で気づかなかった。


  「どうしたのかしら?休みの電話も無かったみたいなの」


  頬に手を当てる原さんもグッド。

  それより本上さんが来てないのはおかしい。今日もバイト入ってたはずだから。

  新刊が出るわけでもないし。なんだろう気になってしまう。


  「店長も何も聞いてなかったんですかね?」


  「そうみたいなの。店長は、本上さんのことだから本でも読んで時間を忘れてるんでしょって」


  確かにそれはあると思うけど一度もそんなことなかったからな。

 

  「帰りまでに来なかったら家に行ってみますよ。帰り道なので」


  「お願いするね」


  「任しておいてください!」


 

  それからというもの仕事が捗らない。理由は本上さんなんだろうけど。

  過去にそういうことがあったなら、そこまで心配はしないけど過去にないことだからな。

  まさか本当に本を食べてお腹を壊してるとか。ないか。

  もうすぐで閉店だ、本上さんは来なかったな。


  閉店の時刻。いつも通り帰りのあと仕事をすることにする。

 

  「お疲れ様です。ではお願いしますね」


  耳打ちは反則なのでは。


  「は、はい!」


  ニコッと笑って帰っていく原さん。それに続くかのように次々と帰っていくバイトの人達。

  店長も閉店の前に帰っちゃったから僕一人だ。

  いつもなら本上さんが隅っこで本を読んでいるのに、なんか調子が狂う。

 

  「これって恋なの?」


  んなバカな。ありもしないことを考えてないで、急いで行かなければ。


  「恋ってなに?」


  「え...あ!」


  裏口から入ってきたのか本上さんが半袖半ズボン姿でそこに居た。

  今の聞かれてたかな。はずかピーナッツ。


  「っていうか!本上さん何してたの!原さんも心配してたんだよ?」


  「本読んでて、時間忘れてた」


  落ち込んだ顔で言わないで、なんか罪悪感が。

  まさか店長の言うとおりだったとは、驚いた。


  「過去にこういうことがなかったから、僕も帰りに本上さんの家に行くところだったよ」


  「危なかったね。通報するところだった」


  「通報するの?ひどくない?」


  「酷くない」


  ずっと浮かない顔してるけどなんだろう。


  「とりあえずホッとした!」


  「なんで笑うの?」


  また顔に出てしまったようだ。

 

  「怒ったりしないの?」


  「まぁ僕はバイトリーダーだし?怒らないといけないんだけど。それより安心したから」


  「優之介は優しいね」


  なんかいきなり言われると恥ずかしくなる。

  しかもなんだこの雰囲気、気まずい。


  「そ、それでなんの本を読んでたの?」


  「これ」


  本上さんが背負っていたリュックから一冊の本を取り出す。


  「小指の赤い糸?ああ!これって有名な恋愛小説じゃないか。映画にもなったし。これを読んで時間忘れてたのか」


  確かに僕も映画を観たとき時間が早く感じた。それほど良く出来た作品で、観てるこっちも泣けてくる話でもある。

  最近恋愛小説なんて読んでなかった本上さんがこれを読んで時間忘れるなんて、なにかあったのかな。


  「その小説は読んでて泣けてくる話だった。それにどんどん続きが気になって、気づいたら夜中だった」


  「本上さんいつも感動する話読むと泣いてるもんね。で、どうしてここに来たの?」


  「来ちゃ悪かったかな?」


  まずい、言い方がちょっとあれだった。本上さんの表情が今にも泣きそうだ。


  「そういう意味ではなく!なんて言ったらいいんだろう...そうだ!誰かに会いに来たの?ってこと!」


  いやいや、考えてみれば会いに来たとしても僕か、時々居る店長くらいしかこの時間帯居ないぞ。


  「て、店長に謝りに来た...」


  それで、僕と会ってしまったと。


  「今日、店長居たけど珍しく閉店前に帰っちゃったよ」


  「そ、そう」


  なぜ下を向く。

  ずっともじもじしてるし、ずっと落ち込んでるみたいだ。


  「本上さん?何かあった?」


  「特に何もないよ」


  「それにしても元気がないなって」


  「バイト無断で休んでヘラヘラしてる人いないよ」


  そうですね。僕も遅刻したときは必要以上に謝りすぎて、それに対して怒られたことがある。


  「優之介!」


  「なに!?」


  「一緒に帰らない?」


  「いいよ!一緒に帰ろうか。ちょっと待ってね仕事終わらせるから」


  いきなり大声出すから何かと思ったけどそんなことか。

  でも、昨日あの幽霊は嘘って言ったのになんでだろう。


  「あ!あと明日はちゃんとバイト来なよ?僕も一緒に居るから皆に謝ろう!」


  「ありがとう」


  僕が居れば謝りやすいだろう。

 

  「あのさ私、男の人と話したことなんてほとんど無くて、その...」


  「ん?」


  下を向いてボソボソと本上さんは言いかける。

  そこまで言ったなら言ってほしい。気になってしまう。


  「その...優之介が初めてなの」


  その勘違いをしそうな言い方はどうにかなりませんか。


  「つまり男の人とこんなに話すのは僕が初めてと?」


  本上さんが頷く。

  僕は嬉しかった。中学からずっと女子には無縁だったから。

 

  「だから...これからも話かけたりしていい?それとたまに一緒に帰ってくれない?」


  なんということだ。デレ期早すぎじゃないか。これはひょっとして、


  「本上さん?それって小説の一部の台詞だったりする?」


  「バレたか。でもちょっとはドキドキしたでしょ?」


  遊ばれていたのか、僕の純情返して。


  「でも、小説の台詞だけど私が思っていることと似てるから」


  「もうどこまでが本音だか分かんないね」


  つい笑ってしまう僕が居た。それにつられて本上さんが笑う。


  「で?一緒に帰るの?」


  「優之介が一緒に帰りたいなら!」


  「では一緒に帰りますか!さて!ちゃちゃっと終わらせるかな!」


  「待ってる!」


  まさかこんなに早くデレ期が来るわけもなく、でも僕は諦めない。本上さんが僕に心を開いてくれるまでは。


  仕事が終わり、鼻唄を歌って待っていた本上さんのところへ行く。


  「珍しいね本を読まないで待つなんて」


  「今は気分が良いから」


  なんで気分が良いのか。本上さんバイト休んだこと覚えてるのかな。

  まぁ僕は気にしてないし、明日皆に謝らせよう。


  「行こうか!」


  「うん!あ、それと男の人とこんなに話すのは初めてって言うのは本当だから」


  面と向かって言われて僕は目をそらす。

  照れてしまった。あまりにも可愛かったから。

 

  「たまに、一緒に帰ったりしよう」


  自分からそんな言葉がでるなんて思わなかった。


  「いいよ?」


  本上さんは首を傾げてそう答えた。

  これは順調に距離を縮められてるような気がする。

  これでたまになら一緒に帰れるのか。嬉しい気持ちが溢れそうです。

 

  外に出て僕達は帰り始めた。

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