表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/22

4話 アイツがやってきました

ブックマークありがとうございます。

これからもよろしくお願いします。

 私がアルの鍛錬を開始してから、この1カ月でアルが主婦化した。何故がどうしてこうなった?



 ゲームのアルがオカンになるなんて初耳なのだが。



 そもそもきっかけは、あのか弱いアルに私の私室と書斎、そして台所を見られたことから始まった。



 私の家には書斎はあるものの、本の触り方や開き方で呪われたりする禁術書だったり、あまりに専門書過ぎて誰も読まないようなものまであるため、書庫と分けている。



 書庫は大抵アルが使う所で、そこには図書館並みに本がある。家の大きさに合わないのは確かだが、空間魔法を使って部屋を広くしてしまえば可能なのだ。



 アルの行き来する部屋と言えば、アル自身の部屋と書庫、居間、後は庭くらいだ。



 掃除も洗濯も、時々人を雇ってやってもらっていたのだが、アルが落ち着くまではと思って雇わなかった。



 それだとごみ屋敷なると思った私は、ある程度自分でこなしていたが限界があった。



 裕福な家から生まれた私は家事をする必要もなかった。前世の私も家事をしていたと言っても文明の利器を使っていたので、今この世界にそれがない今掃除ができるわけがなかった。



 食器を洗ったりちょっとした掃き掃除なら出来るが、洗濯は手洗いで難しいし整理整頓は私の大の苦手だった。



 たまたま私の部屋にやってきたアルは私の部屋の散らかりように驚き、パパッと片付けた。



 初めは特に何も言われなかっただが、最近は「どうしたらこんなに散らかるんですか」とか「きちんと整理整頓してください」などとオカンの様に言ってくるようになった。



 言う様になったじゃやないかアル。私としてはか弱く可愛かったアルに戻ってほしい。



 しまいには、書庫の何処からか見つけてきたレシピ本やら家事の本を読み漁ったかと思うと、料理や掃除など自ら行う様になった。



 これで広告のチラシなんかを見て安売りのチェックなんかしていたら立派な主婦だろう。



 今日の朝食も、アルお手製のトーストとベーコンエッグ、コンソメスープ。どれも美味しく舌鼓していると、あることを思いだした。



「そうだったわ。アル、今日はお客さんがくるから」



「はい?」



 唐突な私に言葉に、アルは普段浮かべないだろう間抜けな顔をしていた。


 その表情に私は笑いを少し零すと、頬を赤く染めながらアルはムッとする。


 そういうところはまだ可愛らしいからいじりがいがあるのだ。


 まだ一カ月と少ししか経っていないが、アルが良い方向で改善し成長している姿に嬉しくなった。



「私の常連さんだよ。まぁそんな身構えなくてもそんな大した奴じゃないから。お茶でも出してくれれば助かるけどね」



 難しい顔をしながらアルは「わかりました」と言って、食べ終わった食器を片付けていった。



 うーん、私以外の人に合わせるのは少し早すぎただろうか?



 でもここを乗り越えて貰えないと町には出かけられない。常連客であり今日訪れる人物の名はルークハルト・キングスヘイム。彼自身そんなに悪い人ではないので、アルの警戒心も薄れるのではないかと思われる。



 食べ終わった私はアルの淹れてくれた紅茶を飲みながら「ふぅ」と一息つき、思わずぼそりと呟いてしまう。



「まさかアルとルークが出会うなんてある意味複雑だけどね」



 その理由はいくつかある。ルークハルトの息子が実はゲームの攻略対象の一人だからだ。



 ゲームの開始自体は今から24年後だ。魔王になったアルには年齢自体関係ない。20歳ほどになれば成長も止まり、不老不死のような存在になるからだ。



 ルークハルトは攻略対象の人物と顔はよくそっくりだ。いや、攻略対象が彼にそっくりなのか?



 攻略対象は魔王、つまりはアルの敵だ。そんな攻略対象の父親と会う魔王なんてシュールすぎる。



 ゲームでもアルとルークに面識あったとはなかったから、ある意味イレギュラーなんだろう。



 もしかしてこれって私の死亡フラグも遠のいたのでは? と思わなくもない。



 ゲームのような扱いをアルにはしていないし、良き師匠としてアルには指導しているつもりだし、家族として保護者のように接しているつもりだ。頑張った時、良かったときは逐一褒めたり頑張りを認めることを意識してる。



 最近は私の方が面倒をみられている所もあるが、彼はまだ子ども。私はアルにとって頼れる存在である……と思いたい。



 ここで油断するのもだめだ。取りあえずはアルの魔王化した時に耐えられる結界なんかも作っておかなければ。後は彼が魔王化してしまう原因になる初恋の人の死を防がないといけない。



 初恋の人、というのは実を言うとヒロインの叔母だ。ヒロインを大人っぽくなった姿と言っても良い。彼女の面影をヒロインから感じてアルは恋に落ちる。初恋の人物はゲームではディアナによって殺された。元々彼女には結婚をする相手がおり、アルの失恋ではあったがアルは彼女の幸せを願い身を引く。そんなさなか、アルの思いが自身にではなく彼女にあると知り怒りに狂ったディアナは彼女を殺してしまう。お腹にいる赤ん坊ごと。



 その殺し方はあまりに残酷だった。ずたずたに殺した後に彼女の子宮を抉りとり未熟な赤ん坊を取り出したと言ってしまえば、そのグロテスクさは伝わることだろう。



 私には到底できないから彼女の死亡フラグは殆どない。私が彼女を傷つけたり殺さない限りは、アルは魔王化しないだろう。



 彼女にあったら、なるべく関わらないようにするべきだろう。失恋するにしてもアルのことは応援しよう。そうすれば、大団円でもないけれど平和的だ。アルの失恋を癒せる可愛い女の子を紹介してあげてもいい。



「うん、そうしよう」



 私がそう心に決めていると、玄関のベルが鳴った。


「客がきたようね。ちょっと出てくるわ。お茶とお菓子お願いね」



「分かりました」



 私は玄関の扉を開きルークを出迎える。


 目の前には、くすみ一つない軽くウェーブが掛かった金髪に海のような綺麗な瞳を持つ美形がいた。



「いらっしゃ、ルーク。一カ月振りかしら。相変わらずのイケメンっぷりね」



「あぁ、会えなくて寂しかったよディアナ。君の月の女神のような美しさにいつも心が奪われる」



「お世辞なんて結構ですわ」



 肩に手を回してきたため、その手を抓って外せる。



「一先ず上がりなさい。要件はそれから聞くわ」



 ルークの「つれない所も素敵だ」という言葉を聞かなかったことにして彼をアルがいる居間へと連れて行った。


ここまでお読みいただきありがとうございます。

次回こそは恋愛要素がはいります。

中々話がすすまない! これ十数話で終わるかな?

何かアドバイスがあればよろしくお願いします!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ