90.厚顔にも、好きになった理由なんかを訊いてみたりしちゃってますが
結婚を前向きに考える?
もし、もしかして元の世界に戻れなかったら、ここでレイと結婚して生きることを考えろっていうの?
「……うん」
そんなの、いいに決まっているじゃない。
帰るためのサポートは全力でしてくれて、無理だったときは結婚してほしい、なんて。
私にばっかり都合のいい話だ。
「いいのかよ!?」
「うん、いいよ」
うなずくと、まぶしいような笑顔で、レイが笑う。
そんな全開の笑顔しないでよ。
レイはいつも私に優しいのに、私はいつも自分のことばっかり考えている。
ズルくて卑怯で、自分でもひどい女だと思う。
なのに、レイは、私の言葉に嬉しそうで。
ぎゅっと抱きしめられて、おずおずとレイの胸に体を預けた。
大切そうに抱きしめられて、そっと背を撫でられる。
ああ。どうしよう。私、幸せだ。
ここでずっと過ごすわけにはいけないのに。
「……ねぇ。どうして、私なの?」
「ん?」
「私なんて、別に普通の女だよ。美人でもないし、性格がいいわけでもないし、何かに優れているわけじゃない。なのに、どうして?」
卑下するわけじゃない。
でも、不思議だった。
尋ねれば、レイはいとおしそうに撫でてくれていた手を止めて、ふっと笑う。
「お前が、普通なのかよー?」
どういうことなの?
「え。別に、私、普通だよね?」
私のことを好きだといったその口で、並以下だとか言ったら、さっきのプロポーズはなかったことにしてもらおう。
のんきな顔で、私を見つめるレイにちょっと苛立てば、レイはくくくと喉の奥で笑う。
「だってよー。俺は、お前みたいな女、見たことねぇぞ?」
「は?……それって、異世界の女ってこと?」
だとすれば、レイが私のことを好きになったのは、異世界の人間だからなのか。
そんな理由で好きだとか言うなら、さっきのプロポーズは以下同文。
レイってほんと、口の利き方が悪い!よね。
ロマンティックな状況のはずなのに、なんで私こんな怒ってばっかりいるんだろう。
むっとしてにらむと、レイはおでこをこつんとくっつけてきた。
「どうなんだろうな?俺が知っている異世界の人間は美咲だけだから、俺が惹かれてやまないお前のどこまでが美咲個人の魅力で、どこまでが異世界の人間共通のものかはわかんねーよ」
「それって、どういうことよ」
「初めに見たとき、お前は寝ていただろ。それを見て、かわいいなとは思ったよ。だけど俺が美咲を好きだと思い始めたのは、美咲が動いて、しゃべって、一緒に過ごしたからだ」
「別に、普通だったでしょ」
「まさか、だろー?」
まさかって、まさかだ。
「いやいや。普通だよね?」
読んでくださり、ありがとうございました。
ブクマもうれしいです。




