85.プレゼントはもちろん好きですが
はっきり言って、私は即物的な女だ。
お金持ちのイケメンが、普通の女の子にあれこれプレゼントして彼女を飾りたてるハーレクイン的なお話が大好物だ。
こういうお話って、洋の東西を問わず、時代の古今を問わず、女子に愛されるお話だよね。
ただし、二次元に限るけどね!?
「怒るなよ」
レイは私の機嫌をうかがうように、視線をそらしながら言う。
「怒ってはないですよ。着替える服もないので、困っていましたし。ただ、この量に驚いたのと、申し訳ないなとは思っていますが」
怒るなんてことはない。
嬉しいのは嬉しいんだよ。
好きな男に、気遣いを示されてうれしくないわけないじゃない。
たださー、山のようにドレスや装飾品をつまれると、申し訳なさともったいなさでおろおろしてしまう。
2,3枚なら申し訳なく思いつつも、心からお礼を言えるんだけどね。
この中の数枚を選ぶにしても、持ってきていただいたお店の方に申し訳ない気がするんだよね…。
「テル。メアリー。悪いが、いったん彼女と二人きりにしてくれないか?」
「かしこまりました」
レイが言えば、私以外の部屋にいた人がそろって頭を下げ、部屋を退室する。
おお。訓練されたかのような見事な動き。
お店の人がほとんどなんだから、訓練なんてしてるはずないけどさ。
いやそれより、二人きり。
いろいろ話したいことはあるはずなのに、緊張してしまう。
昨日はずっと二人きりだったけど、部屋の中で二人きりっていうのは、また別だよね。
しかもレイはなにか言いたそうなくせに、こちらの様子を見つつ、口を開かない。
うーん、これはこっちから声をかけるべき?
と思った時、レイと視線があった。
レイは意を決したように深呼吸し、口を開く。
「あのよー。一晩考えたんだけどよ、俺、やっぱり美咲のことが好きみてーだわ」
照れたように、レイはちょっと視線をそらしつつ、そんなことを言う。
そのくせ言い終えたとたん、私の顔を覗き込んで、
「うん。やっぱり好きだな。お前のこと」
レイは、とろけそうにあまく笑う。
淡い紫の瞳も、やたら熱っぽい。
その目にからめとられたように、私もレイから目がそらせない。
するとレイは私の手を握ろうとしてきた。
「ええっ、うわ、ちょっ、待って!とととととと突然ですね?!」
わめきながら後ずさる私を、レイはぽかんとして眺めた。
「そんなに驚くことか?」
「いやいやいや。だって私たち、会ったばかりだし!」
「だけど美咲だって、俺のこと好きになってくれたんだろ?昨日ダイアモンドにそう言ってたじゃねーか」
すねたようにレイが言う。
やめろ、かわいいから。
じゃなくて。
「私とレイでは、意味がぜんぜん違ってくるじゃないですか!?」
読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマも嬉しいです。
サブタイトルは初め「告白されましたが」でしたが、
いくらなんでもネタバレすぎるかと思い、訂正。
内容に関するサブタイトルをつけようと思うと、ネタバレになるので迷います。




