76.異世界のお食事を食べてしまいましたが
「よかったー!うちのシェフは腕がいいんだよ。でも異世界の人のお口にあうかはわからなかったからさぁ」
「とってもおいしいです。こちらのサンドゥイッチも、いただいていいですか?」
「どうぞ、どうぞ!いっぱい食べてね」
言いながら、ダイアモンド様もスープに手をつける。
サンドゥイッチは、きゅうりっぽいもののサンドゥイッチと、蒸したチキンと香草っぽいもののサンドゥイッチ、それにベリー系のジャムのサンドゥイッチだった。
フィンガーサイズに切られたサンドゥイッチをひとつずついただき、ぜんぶが馴染みのある味だったことにほっとする。
「ぜんぶおいしいですー!」
「そう?よかったわー」
食べ物がおいしいとテンションあがるよね。
ちなみに具材の詳細については、いまは尋ねません。
これでぎょっとする食材だったら、へこむもん。
いまはこれが何かなんてことは考えない。
おいしいごはんってことだけわかっていれば充分だもん。
まぁ頭の中をちらっと、ギリシャ神話のハデスとペルセポネの話を思い出して、不安になったけどね。
冥界の食べ物を口にしたペルセポネは、元の世界に戻れなくなったっていうアレだ。
日本神話のイザナギとイザナミでも、そういうのあったよね……。
でも、食べないと体が持たないしな。
バッグには機内で食べようと思っていたお菓子とか非常食は入っているけど、ほんの少しだし。
いつになるかわからない元の世界に戻る日まで、あれだけの食物で食いつなぐのは無理だしね。
べ、べつに目の前の食べ物がおいしそうでつい…とかじゃないんだからね!
サンドゥイッチとスープをダイアモンド様とふたりで食べちゃうと、最後に焼き菓子に手を伸ばした。
これもアイスボックスクッキーぽいさくさくしたクッキーと、フィナンシェっぽいバターたっぷりの焼き菓子で、おいしい。
「ごちそうさまでした」
「お口にあったみたいで、よかったよ。ごはんって大事だもんね。ちょっとはこっちの世界で生きていく気になってくれた?」
さらりと言われたから、うっかりするところだった。
「ええっとぉ。ダイアモンド様、まだそれ諦めていらっしゃらなかったのですか?」
「当然だよ。そりゃ、家族に会いたいから元の世界に帰りたいっていう美咲さんの気持ちもわかるよ。でも実際問題、元の世界に戻れるかわからないでしょ?」
「それはそうですけれども」
「戻れたと思ったら、別の世界でした、なんてこともありえるじゃない?だったら、ここの世界が住みよければ、移住も考えられるんじゃないかなぁって思うんだよね」
「簡単に言わないでください」
読んでくださり、ありがとうございます。
ブクマもありがとうございます。
さくさく進めようと思うのに、どんどん長くなっている気がします。
何故だ。




