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66.解剖はお断りですが

私はそう思い切って、顔をあげようとした。

けれどその前にダイアモンド様がぎゅっと私を抱きしめて、呆れたようにレイに言う。


「ばーか。私とあんたの関係で、隠し事なんて無駄だってわかっているでしょ!?あんたたちの話を聞いていると、出会って間もないみたいだし?思いきりがつかないかもしれないけど、あんたがやたらこの子を気に入っているのはお見通しだっての。遠慮なんてして逃したら、一生後悔するわよ?」


ダイアモンド様の言葉は、私には見当違いに思えた。

だってレイがそんなに私を気に入ってくれているとか、考えにくいもん。


だけどレイはすぐにはダイアモンド様の言葉に言い返さず、しばらく間をおいて、小さくつぶやいた。


「けどよー。俺がどう思ってようと、そいつはすぐに元の世界に戻るんだぜ?どっちにしても、結婚なんて無理だろ」


「馬鹿ね!美咲さんが元の世界に戻るから、なんだっていうのよ!?大事なのは、自分の気持ちでしょ!?……って、ええっ!?美咲さん、元の世界に戻るの!?」


「は、はい。できるなら、すぐにでも帰りたいです」


「そんなのダメよ!!」


ダメと言われても。


「とつぜんこちらの世界に参りましたので、家族も心配していると思いますし」


「そ、それはそうだけど…」


「でも、帰れるかはわからないんですけど。レイのお知り合いの方が魔術にお詳しいそうなので、そちらにお伺いしようかと思ってはいるんですが」


「えっ。誰なの?レイ」


発見。美人はどんなに渋面をしていても美人だ。

ダイアモンド様はくっきり眉間にしわを寄せて、レイを見る。

レイはちらりとダイアモンド様を見ると、ため息まじりに応えた。


「お前だよ」


「私?でも私、魔術に詳しいっていったって、異世界人についてなんて、ぜんぜん知らないよ?」


「…だよなー」


「私が興味があるのは、身体強化の魔術ばっかだし。まぁさっき美咲さんのお話を聞いたら、ちょっと異世界人にも興味はわいたけどさ。知識面だけじゃなくて、身体的にも優れたものがあるか調べてみたいなぁって」


ダイアモンド様は無邪気に私に微笑みかける。

だけど実験動物を見るような目で見られているのは気のせいなの!?


「身体的には、こちらの方のほうが優れていると思いますよ!!私の国では戦争のない年月も長いですし、移動や荷運びなどに特殊な道具を使うことが多いため、一般人の体力などはそんなに高くないんです!」


だからお願い!解剖とかしないでね!と必死でアピールすると、ダイアモンド様は「なぁんだ」とすぐ興味を失ったようだった。

レイは、さっきからのあの奇妙な表情をうかべ、私を見ている。

……ほんとに、どうかしたのかな?


どこかせつなげで深刻そうな表情なので、気になる。


だけど思考は、ダイアモンド様の言葉で吹き飛んだ。


「もしかして、さぁ。レイ、狙ってた?」

読んでくださり、ありがとうございます。


今日は4月1日ということで、入学式や入社式に向かわれるであろう方を

電車でたくさんお見かけしました。

少しの緊張と未来への期待がいっぱいに詰まった初々しい人を見て

引き続きな毎日を送る身にも、初心が返ってくるようです。

気持ちを新たにして、こちらもさくさく進めます!

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