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60.識字率とか語っていますが

「なにその教育立国……。レイもこれ、知っていたの?」


「いや。初耳」


「ヤバいよね」


「ヤバいよな」


銀の髪の美形双子さんは、二人で顔を見合わせて、ヤバいヤバいと連発している。

この二人、見た目は繊細なお人形みたいなのに、ほんと言葉遣いが悪い。

貴公子然としたレイも、触れれば淡雪のように消えてしまいそうなダイアモンド様も、話すとイメージが音をたててくずれていく。

二人とも有力貴族のご子息ご令嬢なのに、ちょっと残念。

親しみやすいのはいいんだけど、せっかくの美形なんだから、もっとビジュアルにそった言動をしてほしいと思ってしまう。もったいない。


「質問です!」


なぜかダイアモンド様が挙手をして、期待のこもった目で私を見る。

え。なにこれ。なにが始まったの?

手を挙げたまま発言を控えているダイアモンド様を、おそるおそる指名してみる。


「ダイアモンド様、どうぞ」


ダイアモンド様は嬉々として、また矢継ぎ早の質問を始めた。


「国民って、平民も全員ってこと?」


「基本的には全員ですね。私の育った国では、人口のほとんどが平民ですし」


「てことは、さぁ。つまり国民全員が、文字が読めるっていうこと?」


「どうしても例外は生じてしまうので、全員ではないのですが」


私が前置きすると、ダイアモンド様はやはりという表情でうなずきかけ、続いた言葉に動きを止めた。


「私の生まれ育った国では99%の人間が文字が読めます」


「99%!?そんなこと、あり得るの!?」


「つーか、よぉ。文字と計算を教えるのは、まだわかる。商人とかだと、やっぱできるやつとできないやつじゃ使えるレベル変わってくるしよー。軍学校でも教えてるしな。けど歴史とか地理?そんなもん平民に教えてどうなるんだ?」


ダイアモンド様とレイの態度が、驚きを通り越して疑惑の眼差しになっている。

私はてきとうなことを話しているわけじゃないんですよー。

ありのままに語っています!

まぁ正直に語ったら我が身が危険になるなら、嘘もつきますけどね。

面白半分に嘘をついて、お世話になる人の心証を損ねるような真似はしません。


「あり得るのかと尋ねられれば、そうでしたとしかお答えしようがないです。教育内容については、ひとつには国民全体の基礎知識や能力を向上させることで国としては富みますし、国民としても自分の未来を選ぶ可能性を得るために様々なことを学ぶ…んでしょうか?」


考え考え、言う。

ごめん。なんで歴史や地理を学ぶかとかあんまり考えたことなかったよ。

読んでくださり、ありがとうございます。

進みの遅さにめまいがしています。

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