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57.突拍子もない事実ですが、

っていうかさぁ。私はレイが、ハキさんが申し出てくれた私付のメイドの話を断ってくれると思ったのに、新しいメイドを補充する話になるなんて、予想外すぎる。

だいたい「たぶん長期化する」ってなんだよ。

そりゃ元の世界に戻る手がかりは、今のところほとんどないけどさ、私としては早急に元の世界に戻りたいのに。


「美咲さん。レイの客人にメイドもつけないなんて、我が家的にムリだよ。美咲さんはメイドをつけない主義なのかもしれないけど、あきらめて?」


「ダイアモンド様…」


私の言葉は、ダイアモンド様には、謎の主義主張に思えたみたい。

メイドをつけない主義って、なんだそれ。

主義主張っていうんじゃなくて、メイドなんて必要としない生活している人、こっちにもいっぱいいるよね?

私は単にメイドがいるような生活をしていないっていうだけなんだけどな。


見ればダイアモンド様は面白そうに青い目を輝かせているけれど、バドーさんとハキさんは明らかに困惑している。

うぅ。

困らせちゃってごめんなさい。

だいたい考えてみれば、この方たちみんな私のことをレイの婚約者だと誤解しているんだった。

だったらそれ相応のお家の令嬢だと誤解されている可能性は高い。


「レイ。とりあえず皆様にご説明お願いできますか?」


レイを見る目がちょーっとだけじっとりしてしまう。

だってさ。レイ、さっきダイアモンド様に婚約は嘘だって説明しようとしていたよね。

まずはそこの誤解をちゃんと正してもらわないと、話が進まない。


けれどレイは悪びれた様子もなく、至極真面目に私の視線を受け止めると、ダイアモンド様たちに言った。


「あー…。すこし突拍子もない話になるが、落ち着いて聴いてくれ」


「は?なに。あんたがそんな前置きするなんて、珍しいね」


「ああ。まぁ、珍しい話をするからなー。えっとな、美咲なんだが。彼女は、異世界から来たそうなんだ」


「は?」


そ、そこから入るんだ?

まさか異世界から来たっていうところから説明されると思ってなくて私も驚いた。

けど、それ以上に驚いたのは、そんな話を聞かされたダイアモンド様たちだった。

三人とも、信じがたいという目で私とレイを交互に見ている。


うん…。ですよねー。

なに言っているんだコイツとあからさまに表情で告げるダイアモンド様は正しいです。

主人と、主人の客人に対して礼儀を守ろうとしつつ、それでも疑いの眼差しを向けてしまうバドーさんとハキさんは悪くない。

こんな話をお聞かせして、申し訳ないです……。

読んでくださり、ありがとうございます。

ブクマもありがとうございます。

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