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52/162

52.期待と否定の狭間にいますが

なんてね。

ダイアモンド様が嬉しいびっくり発言をしてくださったので、ノリで驚いてしまいました。

つい叫んじゃったかと思ったけど、ダイアモンド様もバドーさんも私のほうを見ていないから、たぶんセーフだったんだろう。


はー、でもびっくりした。

ダイアモンド様、なに言いだすかわかんないよね。

だってねー、レイが私のことを好きとかねぇ。


ないない。


そりゃレイは優しいし、私のことを見て顔を赤くしたり、あまあまなセリフを吐いてくれたりで、私もちょっとだけ、ほんのちょっとだけ期待したこともありましたよ?


けどさぁ。

レイのことを知れば知るほど、レイが私のことを好きになるなんて、ないなーって実感する。


レイってさ。

顔はとびきりの美形だし、優しいし、強いし、貴族だし、領民を思いやった施策をしている元当主様だし。

そのくせ気さくで、お人よしだし。

お仕事は聖騎士。

これはよくわからないけど、ダイアモンド様の発言をきいていると、地位とかお給料とかいいっぽい職業みたいだし。


これだけハイスペックな男なんですよ?

女子なんて、よりどりみどりに決まっている。

ゴージャスな美女から清楚系美少女までよりどりなんだよきっと。

30歳間近の喪女が期待するとか、おこがましすぎる。


まぁダイアモンド様は、私がレイの婚約者だって思っているから、そんなふうに感じちゃったんだろうな。

実際には、ありえないもの。

レイが私のことを好きなんて、さ。


……って、さぁ。思っているのにさぁ。


レイは首まで赤くなって、


「う…、い、いやその……」


とかなんとか口ごもる。

そんでもって私をちらっと見て、視線をそらして、また赤くなる。


おい。

これ、期待するだろ。

普通に期待するよね?


あぁ、もう!

レイがこんな反応ばっかりするから、釣り合わないって思っているのに、ついつい期待しちゃうんじゃない!


「レイ……」


思わずレイの名前を呼んだ。

レイは「うぁっ」とか妙な声をあげて、こっちを見る。

顔は真っ赤で、透き通った紫の目は潤んでいる。


好きなの?

レイが?

私のことを?


そんなありそうにもないこと、信じていいの?


「私も」


「で。結婚式はいつにするか決めているの?」


私も、レイが好き。

言いかけた言葉は、ダイアモンド様の発言に消えた。


結婚式?

って、もしかして、私とレイの?

結婚式?????

読んでくださり、ありがとうございます。

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